引佐(静岡県) 1998年9月23日 |
引佐町内 |
静岡県と愛知県の湿原や水田をめぐり秋の植物を観察するツアーに参加したことがあった。目的はヒガンバナやシラタマホシクサなどが主で他には水田や湿地に生息する植物を観察することだった。ところでこの会社の企画ツアーは天候に恵まれないことで有名で、今回も一泊二日のツアー中に台風が夜間に目的地付近をかすめるというきわどいところもあったが、何とか花々が無事に観察できたことは有難かった。静岡県引佐町で出会った植物を紹介した。 引佐町にある古刹龍譚寺は井伊家の菩提寺として有名で立派な庭園があった。寺を参詣した後、付近を散策し植物観察に向かった。道沿いには秋の花々が咲き目を楽しませてくれた。ツユクサ、マルバツユクサは同時に見られ、お互いの比較ができた。エノキグサ、コミカンソウ、ホソバツルノゲイトウなど地味な草花も見つけることができた。目的の花であるヒガンバナはあちこちで咲き誇り群落を形成していた。赤い花が雨上がりのしずくを宿し新鮮味にあふれていた。とくに川の堤防沿いにはすばらしい群生が見られ、講師の先生方はじめ参加者は盛んにシャッターを切っていた。 稲刈り後の水田や湿地では様々な植物が繁茂して花を探すのが楽しみだった。ヒロハスズメノトウガラシ、イボクサ、ウリカワ、コナギ、オモダカなどは水湿地で群生し花盛りだった。特にオモダカは矢じり形の葉が際立っていた。水辺に見られるオギノツメは水路沿いに群生し、淡紅色のかわいい花を葉腋につけていた。帰化植物のホソバヒメミソハギは在来のヒメミソハギに比べて葉が細く、花がやや大きく赤紫色で美しかった。最近ではホソバヒメミソハギの勢力が拡大しているように思われた。その他に見られた植物はタカサブロウ、ジュズダマ、ボントクタデ、ウスゲチョウジタデなどだった。 その後愛知県内へ移動したが、ほぼ同様の植物が確認できた。心配していた雨にたたられることなく充実した秋の一日を過ごすことができたのは何より幸いだった。 |