立久恵峡、赤名 1998年3月29日,1993年4月27-28日,1994年4月26日 |
立久恵峡入口〜不老橋〜遊歩道〜浮嵐橋〜遊歩道〜立久恵峡入口、赤名湿地 |
島根県出雲市街からそれほど遠くないところに立久恵峡はある。JR出雲市駅から車で20分程度の所要時間のため度々訪れている。今回は春に見られる植物を紹介した。 立久恵峡入口に立つと岩壁がそそり立つ渓谷美を楽しむことができる。川沿いに遊歩道が整備され様々な植物が観察できる。最初に目に付いたのはハコベの仲間であった。ミヤマハコベ、サワハコベ、ミミナグサなど白い花が道沿いに微笑んでいた。スミレの仲間もちょうど見頃であった。ナガバノタチツボスミレが多く見られ、オオタチツボスミレや以前はコタチツボスミレと混同されてきた山陰型タチツボスミレも混じって咲いていた。他にトキワイカリソウ、ツルカノコソウ、キランソウ、カキドオシ、ラショウモンカズラ、スズシロソウ、カテンソウ、ミツバツチグリ、ニリンソウ、コンロンソウ等々の春の花で溢れかえっていた。数は少ないがイチリンソウが咲いているのも見かけた。林縁ではムサシアブミの不気味な花が顔を覗かせ、湿ったところではチャルメルソウが精巧な花を付け、シロバナネコノメソウの白花が輝いているのも観察できた。またこの周辺には帰化植物も多く、ヒメオドリコソウ、モミジバヒメオドリコソウ、カラクサナズナがはびこっていた。 時期を変えればまた異なった植物が迎えてくれる立久恵峡は四季を通じて特徴的な植物が観察できる貴重な自然が残されたところである。 赤名湿地は島根県から広島県へ抜ける山中の県境付近にあり、貴重な湿原植物が生息している。4月下旬には寒冷地に多いミツガシワ、リュウキンカが湿原を覆っていた。北方系の植物が分布する面白い地域だ。隣接する長尾池ではヒルムシロやヒツジグサが大きく葉を広げていた。湿原周辺ではオオタチツボスミレが群生し、シハイスミレの葉の中央部に直線状の白斑が入る品種コンピラスミレが紅紫色のきれいな花を開き印象的であった。 |