西播磨        2008年5月3日
ハリママムシグサの巻
 西播磨地方に関して思うことは、この地方でなければ見られない分布の限られた特徴的な植物が多いことである。たとえばオチフジ、キバナサバノオセッピコテンナショウ、ハリママムシグサなど珍しい種が多く見られるのだ。加えて2008年3月にはナギヒロハテンナンショウという新種が記載された。もちろんこの種も周辺の地域に自生するテンナショウの仲間だ。
 今回取り上げるのはハリママムシグサで、初めに西播磨地方で発見されたためこの和名が付けられているが、その後神戸市でも見つかっている。特徴的なのは仏炎苞が半透明で透きとおって見えることである。花期は早めで訪問したときには既に仏炎苞の先が垂れてしまっていた。それでも一目でそれとわかる程だった。
 同じ場所にはナンゴクウラシマソウの花が咲いていた。以前に見かけたのは九州地方だったこともあり南方系の植物と思っていた。そのため本州の兵庫県で見られるとは驚きだった。ウラシマソウと比べて小さな仏炎苞が地際から顔を覗かせていた。
 もう一種類のテンナンショウはムロウテンナンショウで、近畿地方では比較的良く見かける種で分布も広いようであった。付属体の先が細くなり、先端部がやや膨れるので見分けができると思われた。
 テンナンショウ類以外の植物では、思わぬところでオチフジに出会った。期待していなかったが予想外の遭遇に感激した。落ち藤の名前の由来といわれている大きな淡紫色の花は気高い雰囲気に満ちていた。
 その他にはミツマタの花がどっさりと咲いていて、野生化してあちこちで見られた。紅葉が美しいチドリノキも地味な花を吊り下げていた。
 タニギキョウ、シャガ、ヤマアイ、コンロンソウ、ナガバノタチツボスミレ、ヤマルリソウ、ヒメレンゲ、ラショウモンカズラ、サワハコベ、ネコノメソウ類などもこの山域で観察できた。キクガラクサの独特な形の葉やキジョランのつるが絡み付く様子も確認できた。さらにハカタシダアオネカズラなどのシダ類も豊富だった。
ハリママムシグサ
オチフジ