比良山       1999年5月8日
ゴンドラ→打見山〜蓬莱山〜汁谷〜夫婦滝〜汁谷〜打見山→ゴンドラ
 比良山系は琵琶湖の西側に南北に横たわる山系で主峰武奈ヶ岳をはじめ蓬莱山、打見山、堂満岳、釈迦岳など1000m級の山々が連なっている。この地域は太平洋性気候と日本海性気候の境となり数多くの動植物が生息している。山頂付近には落葉広葉樹林が広がりブナ林も見られる。また5月の連休の頃に開花するホンシャクナゲは随所で群落を形成して見どころの一つとなっている。
 比良山系には数度訪れているが今回は5月初旬の植物を紹介した。まず山麓からゴンドラで打見山山頂に到着した。ここから蓬莱山の山頂付近一帯は開発されスキー場、レジャー施設、ホテルなどが建てられていた。蓬莱山山頂からスキー場の斜面を下り汁谷に入ると自然が残された美しい渓谷が広がっていた。この季節に目に付くのはやはりスミレの仲間で、スミレサイシン、オオタチツボスミレ、フモトスミレ、サンインタチツボスミレなどが所々で微笑んでいた。サンインタチツボスミレはコタチツボスミレと混同されてきたため分類上明確には区別されてこなかった種だ。
 汁谷ではお目当てのホンシャクナゲが満開に近い状態でちょうど見頃だった。樹全体に淡紅紫色の花をまとった様子は見事で華やかだった。湿った場所ではオオバタネツケバナ、コチャルメルソウが咲き、渓流沿いの岩場ではモミジチャルメルソウがもみじの葉に似た葉を広げ、地味ではあるものの細かな花を幾つも付けていた。本種は日本海側に分布する種のひとつだった。オオカメノキの白い花も開花して渓谷を明るく彩っていた。
 その他に見られた植物としてアシウテンナンショウがあった。ヒロハテンナンショウの変種とされるが濃紫色で白条の入った仏炎苞は迫力満点で魅入られるほどだった。またスキー場の草原地帯ではヤマスズメノヒエの花が点在していた。
ホンシャクナゲ
オオタチツボスミレ
山陰型タチツボスミレ
モミジチャルメルソウ
アシウテンナンショウ