茶臼山 2009年4月19日、1999年4月30日、2009年5月9日 |
川宇連、アテビ平、茶臼山など |
茶臼山(1415m)は愛知県と長野県との境に位置し、観光地として様々な設備が充実している。スキー場、牧場、芝生広場として切り開かれ自然林は少なくなってしまったが、わずかに残された山頂付近や長野県側には樹種の豊富な原生林が広がっている。 山麓にはハナノキの自生地があり、川宇連ハナノキ自生地として国の天然記念物に指定されている。ハナノキは分布が限定されていて、愛知県北東部の山地から恵那山山麓および長野県大町市の湿原などに自生している。カエデの仲間であるが春先に葉の展開前に紅色のきれいな花を咲かせるためこの名がある。4月中旬にはちょうど花盛りで見上げると紅色の小さな花が点々と輝き美しかった。 山腹のハナノキ自生地から茶臼山を越えて長野県側に500mほど入ると茶臼山自然園アテビ平小鳥の森がある。アテビとは方言でクロベのことを指す。多湿地にミズゴケやマンネンスギとともにクロベが茂っているのでアテビ島(アテビ平)と呼ばれる。他にもオオシラビソ、ツガ、ブナ、イヌブナ、サワラ、ヒノキ、ミズナラ、ホオノキ、ヤマザクラなどの樹林帯が広がりバードウォッチングの適地でもある。春先にはザゼンソウとミズバショウが少ないながらも観察できる。愛知県内にはザゼンソウの自生は見られないので貴重な存在である。そういえば最初にザゼンソウを見たのもここだったような気がする。樹林内には草本は概して少なく、バイカオウレン、ヒメイチゲ、タチツボスミレ、ヒメカンアオイ、コチャルメルソウ、イワセントウソウ、ツクバネソウなどが同時に見られたくらいだった。 茶臼山本峰に登るとタチツボスミレ、トウカイスミレ、シコクスミレ、コガネネコノメソウ、ユリワサビ、ホソバノアマナ、ワチガイソウ、ニシキゴロモ、タチカメバソウ、ダンコウバイ、アブラチャンなどが咲いているのを確認した。 面ノ木峠辺りの植生に比べると草本についてはやや乏しい感じは否めないが、それでもこの地方の代表的な植物が観察できる興味深いところである。 |