面白山高原(山形県)1996年5月12日、2003年5月17日
面白山高原駅〜面白山高原スキー場〜紅葉川沿い遊歩道〜面白山高原駅
 いつも特定の花の開花期を狙って出かけるとは限らない。目的を持たずにふらっと出かけることもある。まさに面白山高原はこの典型だった。仙台から短時間で往復できること、自然が残っていそうなこと、名前が面白そうだったことなどから選んでしまった。
 県境の面白山トンネルを抜けるとすぐに列車は目的の駅に到着した。無人駅を降りるとそこには民家も少なくスキー場があるだけの静かなところだった。早速スキー場方面に向かって歩き出すとスミレの仲間が花盛りだった。主に日本海側に分布するナガハシスミレ、オオタチツボスミレが競って咲き、一般的に見られるタチツボスミレも花を誇示していた。花はほとんど終わっていたがスミレサイシンも分布していた。
 スキー場の下部はセイヨウタンポポ、ヒメオドリコソウに占有されていた。しばらく登り続けるとキクザキイチゲの群生が現われた。白色だけでなく淡紫色の美しい花も見られ、花色の変化が楽しめた。エゾエンゴサクやカタクリの花も少ないながらも認められた。
 スキー場の上部にはまだ雪が残り、雪溶けしたばかりの斜面にはアキタブキが見事な群落を展開していた。日本海側に主として分布するヒメアオキハイイヌガヤなどもこの地方を特徴づける植物だった。
 次に紅葉川沿いの渓谷を探索した。岩場を通る遊歩道が設けられていて、滝や淵があり想像以上の渓谷美が楽しめ、ちょっとしたスリルを味わうこともできた。湿った岩場にはツルネコノメソウが群生し、ミチノクネコノメソウも目に留まった。他にはミヤマキケマン、クルマバソウ、コウライテンナンショウ、タヌキラン、シダ植物ではクサソテツ、オシダ、コタニワタリなど。樹木ではオオヤマザクラ、ウワミズザクラ、ユキグニミツバツツジ、ニワトコアオダモなどが観察できた。
 当ても無く出かけた場所ではあったが収穫が多かった。秋の紅葉も見事だろうと想像しながら帰途についた。
ナガハシスミレ
ミヤマキケマン
アキタブキの群生
キクザキイチゲ