開聞岳      1987年〜1989年
開聞山麓自然公園〜5合目〜山頂往復、山川町など
 秀麗な山容の開聞岳はどの方角から眺めても円錐形を保ち、薩摩富士とも呼ばれる。登山道は麓から螺旋状に右回りにつけられ、徐々に高度を増していくにつれて雄大な景観が楽しめる。薩摩半島の南端に位置するだけに暖帯の植物が数多く自生しその植生は興味深い。
 過去に何回か登頂したことがあるが、最初は火山礫がゴロゴロして歩きにくい。山の下部にはクロマツ、上部にはシイ、カシ類が多く見られる。山頂には岩が露出している。春にはツクシショウジョウバカマ、フデリンドウ、アカネスミレ、ヒメミヤマスミレ、コバノタツナミなどが散見される。
 初夏にかけてはカイモンサツキとも呼ばれ開聞岳を代表する花であるマルバサツキが開花する。花の色が淡紅紫色で美しく見ごたえがある。ちょうどこの頃コガクウツギ、マルバウツギ、シャリンバイ、トベラ、コツクバネウツギなどの樹木も開花して賑やかになる。ヨウラクランジガバチソウなどのランの仲間も多く見られる。
 盛夏には花が少なくなるが、シモツケ、ノギラン、シュスランなどが咲いている。また付近の山川町にあるソテツ自生地の竹山からの開聞岳は別格の眺めである。この辺りの海岸や原野にはマルバニッケイ、ハマナタマメ、ノアサガオ、グンバイヒルガオ、ソナレムグラ、ハマオモト、ヒメハマナデシコ、ボタンボウフウ、イソフサギ、ウラジロフジウツギボウラン、マツバラン、モエジマシダタカノハウラボシなども自生している。
 秋に入るとナンバンギセル、キリシマシャクジョウ、ツチトリモチといった一風変わった花や比較的珍しいトラノオスズカケの花が観察できる。その他ホトトギス、ツルニンジンなど秋の花たちが盛りを迎える。
 開聞岳山頂からは360度の展望が開け、池田湖、長崎鼻、竹山などが手に取るように眺められる。優れた眺望と植生に魅せられて何度も通うことになったのも頷けるところであろうか。
ソテツ自生地の竹山から望む開聞岳
マルバサツキ