梅ヶ島、阿倍峠     2013年8月8日
マツノハマンネングサの巻
 梅ヶ島、阿倍峠周辺には特徴的な植物が多く見られる。関東地方西南部を主として分布するマツノハマンネングサもその一種だ。苔むした樹上に着生する種で生息地域が秩父、丹沢、富士山周辺に限られている。おもにブナなどの落葉広葉樹の樹幹に着生して、名前のように葉が細く黄色い花を咲かせるマンネングサの仲間だ。
 梅ヶ島、阿倍峠周辺で苔むした老木を観察して回った。沢沿いの老樹にはコケがびっしりと生えているもののマツノハマンネングサの着生しているものはなかなか見つからなかった。一部の樹にはイワギボウシやオシャグジデンダが着いているのが認められた。調べるうちに葉が細いマンネングサらしきものが樹の高いところに着生しているのを発見した。なんとか写真に写せそうな場所のものも探し出し撮影に成功した。花が終盤であったことや、光線の加減が悪く、出来上がりは満足できるほどのものではなかったが、それでも出会えたことの喜びのほうが大きかった。
 崖地などでは植生が良く残されているせいか、見るべき植物が多かった。ヤマホタルブクロ、テバコモミジガサ、ヤマトウバナ、ウラハグサ、ボタンヅル、ヤハズハハコ、ヤマハハコ、イケマ、イワタバコ、ミヤマタニソバ、オオバノヤエムグラ、シモツケソウ、サワオトギリ、フジオトギリ、オオビランジ、キリンソウ、ヤマユリ、ハコネギク、イワアカバナ、ダイコンソウ、ギンレイカ、ナガバシロヨメナ、ミヤマヤブタバコ、タニタデ、ヤブランなど様々な草本植物が現れて興味深かった。木本植物ではヤマアジサイ、タマアジサイ、ノリウウギ、リョウブなどの白い花が目立った。さらにクマイチゴの赤い果実が彩を添えていた。
 花の時期ではないが、湿った岩場には、ダイモンジソウ、ヤマイワカガミ、イワユキノシタなどが群生して見られるところがあった。花盛りの頃はどんなにか見事なことであろうと想像しながら次回の訪問に期待してその場を離れた。
マツノハマンネングサ
イワギボウシ
オオビランジ
ヤハズハハコ
フジオトギリ