高尾山       1997年9月20日
高尾山口駅〜6号路〜高尾山頂〜薬王院〜1号路〜高尾山口駅
 高尾山の中腹には数多くの文化財を有する高尾山薬王院がある。そのため修験道の霊域として昔から天然林が守られてきた。現在は明治の森高尾として国定公園に指定されている。また東海自然歩道の起点ともなっている。
 高尾山といえば春のスミレ類が有名だが、それ以外の季節にも特徴的な植物が見られるので何度が訪れたことがあった。そろそろ秋の植物は見ごろを迎えている頃だろうと判断して9月下旬の高尾山へ向かった。
 登山コースが幾重にも入り組んでいてそれぞれ見られる植物が微妙に異なることもあり、選択に迷うところだが、今回は6号路を選んだ。というのは渓流沿いの湿生植物が多く見られることからだった。
 さっそく渓流に沿ってシュウカイドウが群生して見事な景観をつくり出していた。帰化植物なのだがすっかり周りの環境に溶け込んでいる様子だった。周辺にはカラムシ、クワクサ、チジミザサ、ミゾソバ、ミヤマフユイチゴ、サナエタデ、ハエドクソウ、シュウブンソウ、オオバチドメ、ミズヒキなどが目立たないが花をつけていた。
 しばらく登りだしてから目を引いたのはオオヤマハコベだった。ハコベの仲間は春から夏にかけて開花する種が多いが、本種は夏から秋に開花する一風変わった種だった。萼片が花弁より長い特徴をよく確認した。
 山頂に近づくと本日のお目当てにしていた花が出現してくれることを期待したが、残念ながらまだつぼみだった。開花にはまだ数日はかかるようだった。その花はツルギキョウでやや稀な種だった。キキョウの仲間で小さくて白色で決して派手ではないが趣のある花だが、実物との対面は次回に持ち越しとなった。
  山頂からの帰り道で新たに見られた植物はイヌショウマ、キハギ、ノササゲ、オオカモメヅル、ヤマホトトギスなどだった。
 ところで下山途中に高尾山薬王院に立寄ってみた。いつも回避していたので今回が初めての訪問だった。古い建造物が立ち並び思ったよりも規模が大きく驚いた。
シュウカイドウの群落
オオカモメヅル
ノササゲ
イヌショウマ