層雲峡        1995年7月23日
層雲峡→大雪ダム〜大函〜流星の滝、銀河の滝〜層雲峡
 仕事仲間の外人さん達の中には植物好きな人がいた。いやむしろ自然愛好家といったほうが正しいかもしれない。花以外に野鳥なども含めて自然について全般的に詳しかったのだ。出張で来日したついでに休日を利用して山登りに行きたいということで、前日は大雪山に登頂したところだった。今日も登頂予定だったが、皆疲れている様子だったので川沿いの探索に変更した。
 層雲峡のホテル街からタクシーで大雪ダム付近まで行き、ここから川沿いを歩いてもどるコースを辿った。さっそく道路際には数多くの帰化植物が目に飛び込んできた。たとえばオレンジ色が鮮やかなコウリンタンポポ、白い花のマツヨイセンノウ、フランスギク、コシカギク、セイヨウノコギリソウ、黒紫色の独特な花をつけるイタチハギなどだった。
 もちろん山地から亜高山帯に見られる花たちや渓流に咲く花たちもふんだんに見られたことは言うまでも無かった。たとえば林縁で大きな葉を広げて白い穂状の花を際立たせ迫力十分なホザキナナカマド、群生して濃紅色の花が目立つヤナギラン、艶やかなピンクの花をつけるホザキシモツケ、橙赤色の反り返った花被片のクルマユリなどはよく目立つ存在だった。控えめながらもハイキンポウゲエゾノシモツケソウ、オオダイコンソウ、キオン、ヤナギタンポポ、チシマアザミなどが大函までに現われた花たちだった。
 その後も川岸沿いに散策を続行すると、エゾノキリンソウが岩場に張り付いて黄色の花を輝かせているのが目に入った。岩場を注意深く探すとエゾスカシユリも見つかった。海岸に見られる植物がこんなに内陸にまで進入していた。河原に見られるカワラボウフウはセリ科の花で葉が細かく切れ込んでいるのが特徴だった。他にはキバナカワラマツバ、オオカラマツ、トモエソウ、ヨブスマソウなどを観察しながら戻った。
 高山帯にまで登らなくても十分に自然を満喫することができた半日だった。
ホザキナナカマド
ホザキシモツケ
エゾスカシユリ
エゾノキリンソウ