西濃 2005年4月29日 |
イワザクラの巻 |
岐阜県の美濃地方は東濃と西濃に分けられる。東濃と西濃では大きく植生が異なるところがある。ひとつには東濃地方には湿原などが点在し、いわゆる周伊勢湾地域に共通して分布する固有種が多く見られることである。シデコブシ、シラタマホシクサ、ミカワシオガマなどが挙げられる。これに対して西濃地方の一部には石灰岩でできた山地が広がるため石灰岩を好んで分布する植物が見られる。今回はとある山地に好石灰岩植物であるイワザクラを訪ねることにした。 石灰岩で形成された山は植生が豊かで興味深いものだった。山麓から山頂付近まで春の花が溢れんばかりで撮影に忙しかった。 植林地帯の登山道を進むとフイリシハイスミレがポツポツと咲き始めていた。上るにつれて落葉広葉樹林帯が広がり林床が明るくなり、植物の種類も増えだした。 目に付くのはスミレの種類の多さだった。オオタチツボスミレ、タチツボスミレ、マルバスミレ、エイザンスミレ、スミレサイシン、ヒナスミレなどが確認できた。同時に見られた花としてはニシキゴロモ、ニリンソウ、カタクリ、ヒトリシズカ、ヤマルリソウ、ナツトウダイ、ミヤマカタバミ、マルバコンロンソウ、ハルトラノオ、ハクサンハタザオ、ツクバネソウ、キバナイカリソウ、シャク、ウスバサイシン、フタバアオイなどで数え挙げれば限がなかった。 加えて渓流沿いや林内の湿った場所にはミカワチャルメルソウ、ボタンネコノメソウ、ヤマネコノメソウ、タチネコノメソウ、ヒメレンゲ、オオバタネツケバナなどが加わっていた。 下草に目を奪われて見逃してしまいそうだが、頭上にはコクサギ、キブシ、シロモジなどの樹木の仲間も花盛りだった。 ところでイワザクラといえば、石灰岩にしっかりとくっついて微笑んでいた。鮮やかな紅紫色の花を幾つもつけて誇らしげに見えた。 鈴鹿山地の藤原岳と同様に石灰岩でできた山は植生が豊富ですっかり圧倒されてしまった。 |