竜爪山        2012年10月22日
穂積神社〜山頂(往復)
 いつかどこかの図鑑でテイショウソウの写真を見たことがあった。その撮影場所が竜爪山だったので、訪れる機会をうかがっていた。この時はちょうど麻機遊水地で植物を観察した後、時間ができどこか他の地へ撮影に出かけようと考えていたところだった。運良く竜爪山のテイショウソウが頭に浮かんだのだった。
 午後からの訪問ということもあり時間を節約するために車で穂積神社まで乗り着けた。神社の境内にはチャノキが植えられていて花が咲いていた。ツバキ科でヤブツバキやサザンカと同じ仲間でこの時期に花をつけていた。神社境内やその周辺にあるスギの大木には目を見張るものがあった。古くから信仰の対象となった山であることを伺わせるものだった。
 神社から山頂までの山道はおおむね急な登りとなり、ところどころで鉄製の階段が取り付けられて上りやすくなっていた。以前に登った時に中腹以上でテイショウソウの葉を見かけたことがあったので、その記憶を頼りに探してみるがなかなか見つからなかった。かなり登ったところでやっと林内に生えるテイショウソウの葉を発見することができた。すると次から次へと開花株が現れ出した。心配していたとおり、花は終わっているものが多かった。しかし残花も幾らか見つけることができた。花の構造が面白くエンシュウハグマやモミジハグマと同様に頭花は3花からなり、白色線形の裂片が15個あるのが特徴だった。それ以上に興味を引かれたのは葉だった。葉の表面には白い紋様が現れ、それぞれ形が異なっているところが見所だった。
 登山道の途中には富士山の展望ができるところがあった。頭にちょこんと雪を被った富士山が秋空にきれいに浮かんでいた。
 登頂後に同じ道を戻ると、もっと下の神社に近いところでもテイショウソウを見かけた。行きには発見できなかったが案外見落としがあるものだと思った。他にもいろいろな植物が開花して目を楽しませてくれた。シロヨメナ、アキチョウジ、シラネセンキュウ、ガンクビソウ、コヤボウキ、ヒヨドリバナ、リンドウ、アキノキリンソウ、ヤマミゾソバ、ハナタデなどだった。
竜爪山から見た富士山
テイショウソウ