竜爪山        2006年8月29日
則沢〜道白堂〜文珠岳〜薬師岳〜穂積神社〜新道・旧道〜平山
 隣県には分布しているのになぜか愛知県内には見られない植物がある。チャボホトトギスはその一種で静岡県と三重県には分布している。この種のように黄色い花をつけるホトトギスの仲間には分布の限られているものが多く興味深い。本種は東海地方から九州地方まで分布するが花が一日で終わってしまうため新鮮な個体を目にする機会は限られている。
 さてチャボホトトギスを求めて静岡県の竜爪山へ8月下旬に出かけた。則沢でバスを降り歩き始めると渓流の岩場にはイワタバコがびっしりと貼り付いていた。花期にはさぞ見事なことだろう。しばらく舗装された林道歩きとなるが山の斜面がところどころで削られて、お茶畑が展開されているのもこの地方ならではの風景だった。道路わきの斜面にはオニドコロ、ヌスビトハギ、ハキダメギク、フユイチゴ、ウシタキソウ、湿った場所にはタマアジサイ、ヤマミズが咲いていた。
 やがて植林地帯のなかを汗だくになりながら登り始めるとヤマホトトギスが現れた。花被片が反り返った面白い咲き方をしていた。ガンクビソウ、ヒメガンクビソウ、マツカゼソウ、ハシカグサ、ツルリンドウなどを撮影しながら登ると、ヤマジオウに出会った。花期が過ぎているのか咲いている花を探すのに苦労した。しかしそのおびただしい株数には驚かされた。中にはシロバナも観察できた。山頂に近づく頃にやっとチャボホトトギスと対面できた。予想していたより大きく立派な株が並んでいて花もちょうど見頃だった。
 山頂から穂積神社までの下りは急になっており所々で金属製の階段が設けられていた。チャボホトトギス、ツルニンジン、ヒメキンミズヒキ、オオヤマハコベ、フシグロセンノウ、ヒヨドリバナなどが咲いている山道を神社まで下った。信仰の山らしく杉の巨木も仰ぎ見ることができた。水を補給した後は新道・旧道をおりまぜて山麓に達した。夏の終わりの非常に蒸し暑い一日だった。
チャボホトトギス
ヤマホトトギス
ヤマジオウ
フジグロセンノウ