尾瀬 1996年6月20日 |
鳩待峠〜山ノ鼻〜上田代〜東電小屋〜温泉小屋〜見晴十字路〜竜宮小屋〜山ノ鼻〜鳩待峠 |
尾瀬は昔から憧れの地だった。いつか訪れてみたいと思いながらなかなか実現できずにいた。やっと願いが叶い訪問できたのは1996年のミズバショウの咲く季節だった。ミズバショウは尾瀬でなくても観察できるが、唱歌「夏の思い出」に歌われているせいか、あまりにも有名になり訪れる人々で溢れかえっていた。さらに、雪解け水で橋が流され、仮設橋では一度に多くの人が渡れず大渋滞している有様だった。 中田代付近では写真でよく紹介される至仏山を背景にミズバショウの群生が広がる風景に遭遇した。本年は雪解けが遅いせいかちょうど良い具合に咲き始めたところでラッキーだった。湿原地帯にはほかにも様々な植物が散見された。ワタスゲは白い果穂が有名だが、花は早咲きで黄色い葯が目立っていた。ネコヤナギの仲間も花をつけていたが、オオキツネヤナギのようだった。地味ながらも群生しているのはヤチヤナギで寒冷地を住処とする植物だが、愛知県の低地でも見られるのは興味深いものだ。もうひとつの地味な仲間はタヌキランだが、ここでは大株を造って蔓延っていた。 派手な仲間ではリュキンカがミズバショウとともに群生しこの時期の湿原の主役を分け合っていた。緑色の下地に鮮やかな黄色い星をちりばめた絨毯を敷き詰めたようだった。ショウジョウバカマは低山でもよく見かけるが尾瀬で見るとまた高貴な感じがして不思議なものだ。限られた高層湿原に生えるオオバタチツボスミレは開花し始めたところだったが、美しい紫色のスミレだった。タテヤマリンドウ、ヒメイチゲなども湿原の貴重な仲間だった。 林縁や林床にはサンリンソウ、コミヤマカタバミ、スミレサイシン、ミヤマキスミレなどの花が勢ぞろいで出迎えてくれた。 ところで前日は天候がすぐれず、大荒れの状況だったと後で聞いた。幸運に恵まれ様々な植物と出会え、写真を撮影できたのは望外の喜びであった。そのため尾瀬の第一印象は頗る良好なものとなった。 |