西播磨 2008年5月4日 |
セッピコテンナンショウの巻 |
気味悪がられる花の代表格といえばテンナンショウの仲間だろう。一見するとヘビが鎌首をもたげたように見える無気味な花を咲かせるのだ。茎の模様がマムシに似ているところから〜マムシグサと言われたり、地域の名前を冠して〜テンナンショウと呼ばれたりしているものが多い。中には長く伸びた付属帯を釣り糸に見立てて、ウラシマソウと呼ばれる種や白い球状の付属帯をモチに見立てて、ユキモチソウと名前が付けられた種もある。 一般的にテンナンショウの仲間は地域によって変異が多く見られたり、分布の限られた種が多いのが魅力的でもある。そのため一部のマニアにより盗掘され絶滅の危機に瀕している種も少なくない。 セッピコテンナンショウは雪彦山で発見されたが、今では絶滅寸前で幻の花とも言われている。そんなわけであまり期待もせずに出かけることにした。川沿いの登山道にはネコノメソウの仲間がポツポツと現われて目を楽しませてくれた。イワボタンの仲間やタチネコノメソウが咲いていた。渓流の岩場にはチャルメルソウやコチャルメルソウが花盛りだった。小さい黄色い星のような花をふんだんにつけたヒメレンゲも鮮やかだった。オオバタネツケバナ、サワハコベもわずかに認められたが、何よりも川面に浮かぶヤブツバキの落花が印象的だった。テンナンショウの仲間と言えばこのあたりの地域では良く見られるムロウテンナンショウぐらいだった。 尾根道に入ると足元にはチゴユリ、ニシキゴロモ、シハイスミレ、タチツボスミレ、頭上にはツツジ科の花が満開だった。しばらくすると突然、二本の黒い鉛筆のような物体が地面から突き出しているがわかった。これがセッピコテンナンショウだった。葉が展開前だったため、このように見えたのだった。思ったより小さい花に感動しつつ撮影に勤しんだ。その後、葉の展開したものも見られたが個体数はわずかだった。珍しい花に出会えて感激の一日だった。 |