根尾          2009年4月5日
淡墨公園、根尾谷断層、水鳥谷など
 淡墨桜は岐阜県本巣市(旧根尾村)にある樹齢1500年以上のエドヒガンの古木である。名前の由来は蕾時にはピンクの花びらが開花すると白色になり、散り際には淡い墨色になるところからきている。福島県の三春滝桜、山梨県の山高神代桜と並んで日本三大桜のひとつと言われ国の天然記念物に指定されている。
 これほど有名な桜の巨木であるにもかかわらず、見学したことがなかった。植えられた樹木や栽培された花に対しては興味が半減し、敬遠してきたのも事実である。しかしながら、今回はなぜか自然に足が向いてしまったのだ。見学に行くというよりも、むしろ淡墨桜に引き寄せられたといったほうが正しいかもしれない。以前屋久島の縄文杉を見学したツアー客が縄文杉に呼ばれて来訪したと話したことを覚えている。やはり巨樹、古木には人を引き付ける力が宿っているのだろうか。
 さて、対面を果たした淡墨桜は何本もの支柱に支えられながらも元気に花を咲かせていた。途中で折れてしまった枝や脈々と波打つ樹幹に年齢を感じさせながらも、多くの人々に見守られて誇らしげに見えた。
 根尾谷断層は1891年の濃尾地震によって出現した震源断層で数十kmにわたって現われ、最大上下6mの変位が生じたものだ。国の特別天然記念物に指定され、付近には地震断層観察館という施設が設けられていた。
 水鳥谷には清流が流れ、川沿いの道を進むとミカワチャルメルソウが開花し始めていた。分布の広いコチャルメルソウも加わっていた。ネコノメソウの仲間ではヒメヒダボタン、ボタンネコノメソウ、タチネコノメソウ、ハナネコノメが確認できた。ヒメヒダボタンは能郷谷でも見かけたが黄金色の苞と黄色い雄しべが印象的な花だった。他にもミヤマキケマン、ミヤマカタバミ、ショウジョウバカマ、タチツボスミレ、シャク、アブラチャンなどが咲き出したばかりだった。
 最後に淡墨公園までは国道418号線を利用したが、これが正解だった。国道157号線は大渋滞を引き起こしていて思わずゾッとするほどだった。
満開の淡墨桜
ヒメヒダボタン