面ノ木峠       1991年〜2007年-A
面ノ木峠、天狗棚、木地師屋敷跡など
 春の花々が一段落すると花の端境期を向かえやや寂しくなる。それでもよく探せばフタリシズカ、ナルコユリ、アマドコロ、ユキザサ、ルイヨウショウマ、クルマムグラなどの地味な花が見つかる。ヤマクワガタは比較的標高の高いところに見られるクワガタソウの仲間だ。また数は少ないがアヤメも咲いている。かつてはイチヨウランやノビネチドリも見られたが最近は見かけなくなった。樹木ではヤマツツジ、レンゲツツジ、ベニドウダン、エゴノキ、ヤマボウシなどがこの時期の花たちだ。特にヤマボウシは大きな白い花を輝かせて目立っている。
 6月下旬から7月に入ると木地師屋敷跡湿原は最も華やかな季節を迎える。それはノハナショウブが開花し密度の高い群落が展開されるからだ。同時に咲くのがミズチドリでツンと花茎を伸ばし白い花を際立たせている。足元にはカキランの黄色い花も顔を覗かせている。ミヤコイバラ、オオバギボウシ、ウツボグサも湿原を彩りにぎやかだ。
 付近にはノギラン、イチヤクソウ、ウメガサソウ、クモキリソウ、オカトラノオ、アカショウマ、ヤマアジサイ、ツルアジサイ、ササユリなどが開花しているところも見られる。ところどころで黄褐色の花を鈴生りにつけているのはツチアケビだ。このあたりには比較的多くの株が認められる。秋になると真っ赤に色づいたバナナ形の果実をぶら下げるのもまた面白いものだ。
 面ノ木園地ではバイケイソウの白い花、キバナノヤマオダマキの淡黄色の花、ヤマホタルブクロの淡紅紫色の花など色とりどりの花が咲き乱れる。渓流沿ではヤマトウバナ、サワギクなどがちらほらと眼に留まる。
 山頂付近の尾根道ではやっとバイカツツジが開花し始めた。花が葉の下に隠れて咲くため撮影しにくい花だ。
 自然に恵まれた山地帯では次第に盛夏の花々にバトンタッチして行く。
ノハナショウブ
ヤマクワガタ
ミズチドリ
ツチアケビ