北岳 1985年8月25日〜26日 |
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8月の下旬に北岳を訪ねた。この時期でなければ見られない花たちが咲いているからだ。たとえばサンプクリンドウ、アカイシリンドウ、ヒメセンブリなどだ。これらの植物は8月の下旬から開花し始めるのでぜひとも観察したいと思っていた。ただし、もう一つ重要なことがある。それは天候次第だということだ。サンプクリンドウ、アカイシリンウ、ヒメセンブリはいずれもリンドウの仲間であるため、日光が射さなければ花が開かないのだ。そのため、せっかく高山帯にまで登ったのに、開花が拝めない時もある。幸いにしてこの時は十分な日差しの下で開花株を撮影することができた。 他にも予想以上に高山植物が開花しており、期待以上の収穫が得られたのも幸いだった。花は地味だが優雅な和名が付けられているハゴロモグサ、葉が小さくて細いヒメアカバナ、またキタダケトリカブト、キタダケヨモギなどの花たちが咲き誇り十分に楽しめるものだった。 種子植物だけではなく、シダ植物にも貴重なものが発見できたのも幸いだった。山頂付近の岩場で見かけたヒイラギデンダ。貴重なシダでめったにお目にかかれない種だが見つけることができた。ただしこのヒイラギデンダとの再会は叶わず、その後見かけることなかった。環境が変わり枯れてしまったのか、はたまた採集されてなくなってしまったのか不明である。一期一会の植物になってしまったかもしれない。 ナヨンダはナヨナヨした弱々しい感じのするシダで低山帯から高山帯にかけて見られる。何気なく撮影したものだが、岩場で見つけることができた。 追記すると、2008年に登頂した時には、キタダケデンダに遭遇した。こちらもなかなか出会うことの稀な種で、幸いにも撮影できた。また2001年にはヤツガタケシノブにも出会っていた。 北岳には貴重な種が多く見られるので、何度訪れても期待を裏切られることがない。それほど植生が豊かな山域である。 |