伊那谷 2011年11月4日 |
ツツザキヤマジノギクの巻 |
キク科植物の花の構造は小さな花がたくさん集まり1個の花のように見える頭状花序を形成している。頭状花序を形成する小花には筒状花序と舌状花序がある。タンポポのように舌状花序のみで構成されている花もあれば、中央を筒状花序で周辺を舌状花序が占めるノギクの仲間などがある。 今回紹介するのはヤマジノギクの変種とされているツツザキヤマジノギクである。ヤマジノギクの舌状花が筒状になったり、不規則に切れ込んだりする種である。 長野県の伊那谷に自生するというこの花をぜひとも見たくて晩秋の信州を訪問した。あらかじめ資料などから自生している場所を予想して出かけたが、正に予想通りの場所に自生していた。 初めて見る花であったが、その変化の多彩さには驚いた。舌状花は先端部付近まで筒状に巻いているもの、途中まで筒状に巻いているもの、切れ込みのみあるもの、切れ込みがほとんどないものなど様々な形態が認められた。舌状花の色は淡紫色が多いが色の濃淡があり、中には白い花も見られた(添付写真参照)。 写真撮影をしていると面白いことに気がついた。主な株にはラベルで番号が付けられていたのだ。どうやら何らかの調査を行っているようだと思っているところへ、一台の車が到着して人が降りてきた。話を聞くとこの付近のツツザキヤマジノギクの生態を調査している研究者たちだった。撮影の邪魔にならないようにとあわててラベルをはずして行った。ラベルの位置が茎の下方だったため撮影に邪魔になるほどではなかったのだが。 同時に観察できたのはノコンギク、カワラヨモギ、ヒメジョオン、コセンダングサ、ヤクシソウ、リュウノウギク、アズマヤマアザミ、シラヤマギク、ムシトリナデシコ、ムラサキエノコロ、ツルヨシ、メリケンカルカヤ、イヌザンショウ、ヌルデなどだった。 もちろん紅葉も楽しめた。カラマツの黄葉は山を黄金色にく染めて輝いていた。オオモミジは真っ赤に燃えているようだった。 |