　5月初旬の連休の頃、駒ヶ岳から神山を経由して早雲山駅に下るコースを巡った。バスを降りてケーブルカーに乗り換えると駒ヶ岳山頂はすぐ目の前だった。ハコネサザの繁茂する中をひと登りで駒ヶ岳神社に到着した。周囲には期待していたコキクザキイチゲがポツポツと咲き出していた。草原地帯を進むうちに群生しているところも見つかり写真撮影に励んだ。ハナネコノメやイトスゲの花も見られた。神山までにはスミレが何種類か見られたが、その中にトウカイスミレを発見した。以前はヒメミヤマスミレと混同されていたが近年区別されたスミレだ。エイザンスミレ、タチツボスミレ、オトメスミレ、そしてブナ帯に咲くシコクスミレも観察できた。満開のアセビやフジザクラが青空をバックに映えているのも感動的だった。また幸運にもコイワザクラのかわいい花が咲いているのが確認できた。ちょうど数日前に別の場所でイワザクラの大きくて立派な花をじっくり観察していたので、よりいっそう可愛らしく感じられた。
　5月中下旬になると神山から大涌谷へ下る道沿いの林床はアカバナヒメイワカガミの花で埋め尽くされていた。一面を覆う様子は想像以上の迫力があった。大涌谷から神山への登山道は2005年5月現在閉鎖されたままであるが、以前通った時は素晴らしい群生に酔いしれた。またこの時期には尾根筋でツクバネソウ、ミヤマハコベ、トウゴクミツバツツジ、コウグイスカグラ、メギ、モミジイチゴなどが咲き誇っていた。駒ヶ岳では石段の隙間にコケリンドウの小振りな花が微笑んでいた。
　ところで駒ヶ岳にはケーブルカーとロープウェイが通じているが、ケーブルカーは2005年8月いっぱいで廃止されると聞いた。小田原駅からバスでロープウェイ乗り場の箱根園までは余計に時間がかかる。大涌谷からの登山道は依然として閉鎖されたままで、かつ早雲山駅からの登りのコースはキツイことから不便になってしまう。何とかならないものだろうか。