　岐阜県郡上市の大和町あたりには野草が咲き乱れるところがあるとの情報を得て、早速出かけてみた。中でも一番見たい花がヒダボタンだった。というのも以前からアカヒダボタンやヒメヒダボタンは見てきたのだが、正真正銘のヒダボタンと言われるものを見たことが無かったからだ。
　山里の春の訪れは遅く、訪問した時期はソメイヨシノが満開を過ぎ、ヤマザクラ、シダレザクラが満開で見頃だった。渓流沿いの山道を中心にしてあちこち散策すると様々な植物に出会うことができた。中でも山道の斜面にミヤマキケマンやオオタチツボスミレが群生し一面を覆い尽くしているのは見事だった。小さな渓流を覗いてみるとお目当てのヒダボタンが黄金色の苞を輝かせているのが見つかった。近づいて写真撮影に時間をかけるが、日差しが強くコントラストがつきすぎてうまく撮影できなかったのは惜しいところだった。
　今回観察できた植物を書き上げると以下の通りだった。
　[山道や林縁]
カタクリ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、アマナ、ミノコバイモ、スミレサイシン、オオタチツボスミレ、タチツボスミレ、シハイスミレ、ヒカゲスミレ、ショウジョウバカマ、ミヤマカタバミ、ミヤマキケマン、ヤマエンゴサク、ウスバサイシン、ユキグニミツバツツジ、ヒメアオキ、シキミ、オオカメノキ、シロモジ、タムシバ、セツブンソウ（実）、セリバオウレン（実）、ジュウモンジシダ、シシガシラなど。
　[渓流沿い]
ヒダボタン、ツルネコノメソウ、ネコノメソウ、コチャルメルソウ、ワサビ、コンロンソウ、オオバタネツケバナ、ケイリュウタチツボスミレ、ナルコスゲなど。
　[路傍や畦]
スミレ、ヒメスミレ、アリアケスミレ、オオイヌノフグリ、ヘビイチゴ、キランソウ、ミチタネツケバナ、ヤマネコノメソウなど。
　個体数は決して多くはないが、植物の種類の多さには驚かされた一日だった。