富士山       1997年7月30日
新5合目登山口〜6合目〜7合目〜6合目〜新5合目登山口〜樹林帯〜新5合目登山口
 富士山は日本一の標高を誇るが、生息している高山植物の種類は少ない。なぜなら比較的最近まで火山として活動を続け、まだ高山植物がそれほど進入してきていないためである。
 富士宮新5合目登山口から登り始めた。ゴロゴロとした砂礫地は登りにくかった。ここで高山に生息するホシガラスと久しぶりに出会った。茶色の体に白い斑点がある気品のある鳥だ。砂礫地にも花が見られるがオンタデ、フジイタドリなどが単一群落を形成していて種類は少なかった。ミヤマオトコヨモギも他では見られないような群生状態だった。砂礫地を良く探すとイワオウギ、タイツリオウギも花をつけていた。そしてムラサキモメンヅルも見つかった。このマメ科植物は分布の限られた種だ。
 さらに登っても花は少なく、引き返し6合目付近を散策すると富士山でなければ見られないフジハタザオの白い花が咲いていた。ミヤマハンショウヅルも黒紫色の地味な花を咲かせていた。ヤハズヒゴタイはまだつぼみで花はこれからだった。フジアザミが咲くのも8月後半になってからであろう。
 次に5合目から下の樹林帯に入り植物を探すことにした。さっそく湿った岩壁の割れ目にイトイが見つかった。薄暗いところだったのでストロボを使用して撮影した。開けた草地にはクルマユリ、タカネグンナイフウロ、タカネバラなどが咲きちょっとした高茎草原を形成していた。道路脇にはヒメシャジンも花をつけていたが、シロツメクサも一緒に写真に写っていたのは残念だった。
 富士山の植物観察を目的とするのであれば5-6合目から下の樹林帯を探すのが得策である。まだ見ていない花の多くはこの樹林帯の中に生息している。たとえばある種のラン科植物などはこれから見てみたい花である。
オンタデ
ムラサキモメンヅル
クルマユリ
フジイタドリ