阿蘇山            1993年〜2001年
阿蘇野草園など
 阿蘇には何度も訪問したことがある。その度に必ずと言ってよい程訪れる場所があった。それは阿蘇野草園だった。休暇村南阿蘇に宿泊することが多く、近くには南阿蘇ビジターセンターがあり、隣接する阿蘇野草園が広がっている。ここは阿蘇で自生する植物が自然に近い状態で観察することができるお気に入りの施設だ。手軽に貴重な植物が観察できるところと言ってしまえばそれまでだが、野山を捜索して自生しているものを発見する十分な時間が取れない場合も多く重宝したものだ。
 阿蘇野草園には野草観察ゾーン、展望ゾーン、森林ゾーンなどの区域が設けられており目的に合わせて散策コースを選ぶことができる。また昆虫ゾーン、野鳥ゾーンなど植物以外の生物も観察できる。
 阿蘇野草園で観察した植物は数多い。春にはツクシシャクナゲが花開き、草原ではスミレ類が開花して賑やかになった。
 初夏にはハナシノブ、マツモトセンノウなど他ではなかなか見られない花が咲き出す。中でもハナシノブは有名で林縁にすっくと立つ姿は凛々しくもある。開花時期に合わせてハナシノブコンサートなる催しが行われている。何と粋な計らいであろうか。
 マツモトセンノウは阿蘇のススキ草原などに生えるセンノウ属の一種で、フシグロセンノウより花が鮮やかで大きい感じがする。花弁の先に浅い切れ込みが入るのも特徴である。
 ワタナベソウを林縁で見かけた。本州中部以北に分布するヤワタソウと似ているが、葉の切れ込みがより深いのが区別点である。また本種は分布が四国、九州に限られている。
 秋に入るとシオン、ヤツシロソウ、ハガクレツリフネ、ツクシフウロ、ナガミノツルキケマン、ツクシミカエリソウなど多様な植物が花盛りだ。付近の草原地帯ではヤマアザミ、ツクシアザミ、ヤナギアザミ、ヒメノダケ、ヒメヨモギなどを見たことがある。
 野草園でのみ見かけた植物達の真の自生の姿をぜひとも観察したいものだ。
ハナシノブ
ツクシフウロ
ワタナベソウ
マツモトセンノウ
シオン