朝熊山 2008年10月13日、2006年11月24日 |
金剛證寺、経塚群、朝熊山頂、朝熊岳道など |
このコーナーを始めた時から、その地域を代表する特徴的な植物を紹介することに努めてきた。地域の特産種があればそれをメインにして話を展開してきた。例えば尾鈴山ではキバナノツキヌキホトトギスだった。また他の地域でも見られる種ながら特に思い入れの強い種について紹介することも多かった。例えば御岳山ではレンゲショウマだったりした。 今回紹介するアサマリンドウはちょうど後者に該当する。本種は本州の紀伊半島以西から四国、九州に分布するが、和名はこの朝熊山に由来する。だから朝熊山の名前を冠したアサマリンドウを紹介するのは朝熊山と以前から決めていた。 10月中旬の朝熊山はちょうどアサマリンドウを観察するのに好適期だった。薄暗い森の林縁にはところどころで青紫色で美しく気品のある花を開いて歓迎してくれていた。草丈が低くて10-25cmほどしかなく目立たないので見つけにくいところがあった。個体数もあまり多くはなかったが、萼片が平開する特徴からすぐに本種と判別できた。 同時期に見られる花としてはシマジタムラソウがあった。朝熊山は蛇紋岩でできているため変性した種が見られるが、ここで見られるシマジタムラソウは草丈が極端に低く矮小化した個体が数多く出現して興味深かった。最近は見かけることが少なくなったセンブリもこの時期の顔なじみの種だった。ススキの根元で紅紫色の派手な花をつけているのはナンバンギセルだった。オオナンバンギセルかとも思ったが花冠の様子からナンバンギセルと判断した。他にはアキチョウジ、ウリクサ、スズカアザミなどを認めることができた。 11月下旬に訪れたときにはアサマリンドウの花はすでに終わっていた。代わりにリュウノウギクやノコンギクが花盛りで、オオフユイチゴの橙赤色の実もきれいだった。ところで驚かされたのはシマジタムラソウが未だに花をつけていたことだった。何と花期が長いことだろうか。 まだ朝熊山で観察できていない植物が多いので次回の訪問が楽しみである。 |