タカネスミレの群生地をこの目で見たくて、6月中旬に秋田駒ヶ岳へ登った。あいにくの天気ながら8合目登山口までバスで到着。シーズン中および土休日はマイカー規制が行われ、バスが運行するのでそれを利用する。登山道を進むとさっそくムラサキヤシオが雨の中風情あふれる様子で咲いていた。コヨウラクツツジも満開だった。足元にはイワカガミ、白い花はイワテハタザオだ。イワテハタザオは他には岩手山でしか見られない。さらに進むと林床にオオバキスミレが出現した。ここでは葉が大きく立派で典型的なものといえる。紅紫色のミヤマスミレも加わると1時間ほどで見晴らしのよい片倉岳展望台に到着。ここから先は本格的にお花畑が続き撮影に忙しい。
 キバナノコマノツメとタカネスミレが混生しているところを抜け阿弥陀池まで出ると、ヒナザクラが迎えてくれた。東北の高山に登らなければ出会えないかわいい花だ。ここから横岳を越えて大焼砂方面に向かった。途中には矮化したミネザクラやシラネアオイも咲いていた。大焼砂ではお目当てのタカネスミレの大群落が目の前に広がった。ここまで来るとわずかに薄日の差す程度に回復し天候にも恵まれた。期待以上の群生で、ミヤマキンバイ、
オヤマソバなども見られた。タカネスミレの群生地は1ヶ月もすればコマクサの群落に交代するだろう。
 しばし堪能した後、引き返し焼森を通過しシャクナゲコースを下った。焼森にもタカネスミレの群落が見られた。途中には
ベニバナイチゴやシラネアオイの見事に群生しているところもあり、やっと8合目に帰り着いた。バスで8合目まで登れてしまうため、その後の登りは楽であり植物観察や撮影に十分時間が取れるのが非常に助かった。豊富な東北の高山植物を観察でき楽しい1日であった。
ムラサキヤシオ
タカネスミレ
ヒナザクラ
オオバキスミレ
秋田駒ヶ岳     2002年6月15日
8合目登山口〜片倉コース〜阿弥陀池〜横岳〜大焼砂〜焼森〜シャクナゲコース〜8合目登山口