屋久島      1989年5月22日〜24日
宮之浦、安房、安房林道→淀川歩道入り口〜淀川小屋〜花之江河往復など
 屋久島の植物を語る上でどうしても欠かせないのがヤクシマシャクナゲである。山頂付近の高地には高さ1mほどの矮小化したシャクナゲが群生し、開花時には天上の花園となる。
 ヤクシマシャクナゲ鑑賞ツアーに同行して屋久島を訪問したのは1989年の5月下旬だった。この時期の屋久島は雨が多く、3日間とも雨にたたられ残念だった。前日に屋久島に入り安房の宿に早々と到着した。さっそく付近の森を探検するとヤクシマアジサイ、オオムラサキシキブハマニンドウ、サクラツツジなどの花が咲いていた。白い実をつけたシラタマカズラやヤクシマオナガカエデの木も見られた。小川でヤクザルの親子に出くわした。かわいい赤ちゃんを抱えていた。海岸ではクマノギク、ボタンボウフウ、イワタイゲキ、シマセンブリ、ハマアズキの花が咲き様々な海岸植物が観察できた。
 23日はツアーでは黒味岳登山の予定だったが激しい雨のため花之江河までで引き返した。登山道を川のように雨水が流れ下る様子は凄まじかった。したがって高地に咲くヤクシマシャクナゲは見ることができなかった。やむをえず森の中で大きく成長した株をやっとのことで撮影した。その他に確認できた植物はヒメカカラコケスミレタカネヒカゲノカズラなどであった。登山から帰り、宮之浦の宿に着くと植えられたテッポウユリやマルバサツキが美しかった。
 最終日は宮之浦川周辺を散策して帰路についた。サツキ、ウラジロエノキが咲き、ホウロクイチゴのオレンジ色の果実が鮮やかだった。シダ植物ではヘゴ、オオタニワタリ、ヌリトラノオなどが観察できた。
 屋久島は植物の宝庫であり、何度訪れても新たな植物との出会いに胸躍らせる。晴れた日に満開のヤクシマシャクナゲと対面することが念願であるがなかなか機会を得ることができず、まだ実現していない。
ヤクシマシャクナゲ
シラタマカズラ
ヤクシマアジサイ
サツキの群生