ウトナイ湖     2008年5月10日、1991年5月28日
サンクチュアリー入り口〜ネイチャーセンター〜自然観察路など
 バードサンクチュアリーおよびラムサール条約という言葉を知っているだろうか。日本野鳥の会によって野鳥を主とした野生生物が安心して生息できる場所として初めてバードサンクチュアリーに指定されたのが北海道のウトナイ湖である。
 またラムサール条約とは湿地の保存に関する国際条約で水鳥を食物連鎖の頂点とする湿地の生態系を守る目的で制定された。ウトナイ湖は日本で4番目の条約登録湿地となっている。
 それほど由緒正しき(?)場所とはつゆ知らずに訪れたのがウトナイ湖だった。場所的に千歳に近いこともあり飛行機で帰る途中についでに立ち寄って見たのが最初だった。面積的には広い湖ではなくちょっとした大きめの池といったところだろうか。湖面にはハクチョウなどの水鳥たちが戯れて、人々と交流できるようになっていた。
 湖岸の自然観察路を巡ると様々な植物が目に入ってきた。タチツボスミレ、フッキソウ、イヌガラシ、ハマハタザオ、ヒメイズイなどの草花が咲いていた。ハマハタザオは海岸の砂地に生えるアブラナ科の種なのだが、ここでは湖岸の砂地に生えていた。ウトナイ湖は海岸から距離的に近いこともあり数多く自生していたのだろうか。
 一方、樹木に目向けるとエゾノコリンゴの花が咲き始めて華やかさを演出していた。ズミの花に似ているが、ズミより花が大きくて、花柄が長いので見分けることができる。
 5月10日に訪れた時にはイヌコリヤナギの花がまだ咲いていた。本州では3月頃に咲いてしまう本種が未だに観察できるとは、北海道の春は遅いものだと妙に感心してしまった。また湖畔にはハンノキの群落も見られたが既に花は終わり実になっていた。
 枯れていたものの花穂が残り気になる植物があった。それはホザキシモツケだった。北海道ではよく見られるものの、本州では稀な植物で、日光の戦場ヶ原で見たことがあるくらいだった。最盛期のホザキシモツケの群生がどれほど素晴らしいのか想像するだけでも楽しいものだった。
ウトナイ湖のハクチョウ
エゾノコリンゴ
イヌコリヤナギ
ハマハタザオ