梅ヶ島、阿倍峠     2013年5月31日
イワユキノシタの巻
 梅ヶ島、阿倍峠周辺には特徴的な植物が多く見られる。関東地方西南部を主として分布するイワユキノシタもその一種だ。湿潤な岩壁に生える種で生息地域が限られた種だ。
 時期的に遅いかもしれないと思いながらも5月下旬に訪問した。湿った岩場を中心に探すと想像以上の群生に出会った。開花して終わっている花も多かったが、まだ開花中の新鮮な花も観察できたのは幸いだった。
 次に目に付いたのはテンナンショウの仲間だった。標高の低い所ではすでに花が萎れているものが多く判別が難しかった。高度を上げると確信は持てないがウメガシマテンナンショウ、ミヤママムシグサ、ヒロハテンナショウが開花しているようだった。ウメガシマテンナショウは梅ヶ島の名前を冠した種である。ミヤママムシグサは未記載の種で本州の中部地方の太平洋側の深山に分布する種である。ヒロハテンナンショウは主に日本海側の山地に分布する種である。この地域には他にもユモトマムシグサ、シコクヒロハテンナンショウなどが分布すると言われているが、今回は見出すことができなかった。
 スゲの仲間ではスルガスゲが特徴的な種だった。分布が阿倍峠周辺に限られた種でぜひ観察したいと思っていた。急斜面の岩場に小規模な群落を発見した。葉が地に伏せたような感じであることが特徴だろうか。スゲ類では他にヒカゲハリスゲ、コミヤマカンスゲ、カンスゲ、コカンスゲを目にすることができた。
 その他にも様々な植物に出会った。草本ではツルシロカネソウ、ミヤマハコベ、マイヅルソウ、ヤマクワガタ、シコクハタザオ、イワボタン、コチャルメルソウ、タチツボスミレ、クルマバソウ、ヒメレンゲ、メノマンネングサ、ミズタガラシ、ハンショウヅル、ヤマスズメノヒエ、ギンリョウソウなど。木本ではニガイチゴ、モミジイチゴ、ヤブウツギ、シロヤシオ、トウゴクミツバツツジ、マルバウツギ、バイカウツギ、コガクウツギなど。シダ植物ではフクロシダ、ハコネシダ、オシャグジデンダ、クジャクシダ、オシダ、シシガシラ、トラノオシダ、イワガネソウなどだった。
イワユキノシタ(雌株)
ミヤママムシグサ
ツルシロカネソウ
スルガスゲ
ヤブウツギ