梅ヶ島、阿倍峠     2014年4月28日
ウメガシマテンナンショウの巻
 静岡県静岡市の北部にあたる山岳地域の梅ヶ島および阿倍峠周辺には貴重な自然が残されている。阿倍峠は静岡県と山梨県との県境に位置し標高1416である。この峠周辺にはオオイタヤメイゲツが群生しており植物群落保護林に指定されていて植生も豊かなところである。また梅ヶ島温泉付近には阿倍の大滝、三段の滝、赤水の滝などがあり、湿生植物が豊富に見られる。これらの地域の名前を冠した植物もいくつか挙げられる。たとえばウメガシマテンナンショウ、アベトウヒレンなどである。
 春先に訪ねたのはウメガシマテンナンショウを確認するためだった。昨年の5月31日に訪れたときには何種類かのテンナンショウの仲間を観察した。しかし時期が遅かったためか、花が萎れているものが多く明確には判別できなかった。
 今回は咲き始めたばかりで、葉が完全に展開する前だったが、ウメガシマテナンショウと考えられるものと遭遇した。葉が細くてホソバテンナンショウに近いが、付属帯がやや太い棒状である点などで異なっていた。
 湿った岩場にはヤマイワカカガミが群生して白い花が見事だった。林床に点在するミツバコンロンソウも目立たないがアブラナ科の白い花をつけていた。
 標高の高いところの渓谷には所々に残雪があった。雪解けの早かった場所では東海地方の面ノ木峠などの三河山地と共通する種であるキバナハナネコノメやトウカイスミレが咲き出していた。他にはイワボタン、イワネコノメソウ、コチャルメルソウ、スルガスゲ、ヒナスゲ、タチツボスミレ、カンスゲ、コカンスゲなどが開花していた。
 樹木ではキブシ、アブラチャン、クロモジ、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、クマシデ、ヤシャブシ、ミツバツツジなど早春の山肌を彩る顔ぶれだった。加えてこの時期にはヤナギの仲間が目立っていた。バッコヤナギ、オノエヤナギ、シバヤナギ、コゴメヤナギなどだった。またヤドリギが黄色い花をつけているのを見かけた。
 最後に阿倍峠から眺めた富士山は格別に美しかった。
阿倍峠から見た富士山
ウメガシマテンナンショウ
ミツバコンロンソウ
キバナハナネコノメ
トウカイスミレ