敦賀            1996年4月23日
敦賀半島
 春はスミレの季節である。初めて植物に興味を持ち始めた頃、スミレは憧れの存在だった。春になると様々な植物が目覚め、一斉に開花するようになる。そのなかでもスミレは種類も多く、生息する場所も多岐にわたり、観察や撮影対象として非常に適していたのだ。さらに植物自体が小柄であることもいっそう愛おしさを募らせるものだった。
 春に咲くスミレをメインにした観察会が催されることを知り、喜んで参加した。目的地は敦賀半島などを巡り、日本海側に咲くスミレを満喫するものだった。観察予定のスミレはナガハシスミレ、テリハタチツボスミレ、山陰型タチツボスミレ(いがりまさし氏の意見に従う)、スミレサイシン、マキノスミレ、シハイスミレ、オオバキスミレイソスミレアナマスミレなどが挙げられていた。
 敦賀半島ではナガハシスミレ、テリハタチツボスミレ、山陰型タチツボスミレなどに出会えた。距が長く上にツンと伸びたナガハシスミレの花はいつ見ても面白い。別名テングスミレと呼ばれるのも頷ける。樹林内の所々で見かけた。
 テリハタチツボスミレは葉に光沢があり、他の種と見分けることができた。ツルタチツボスミレほどではないが、茎を伸ばして新株をつくる性質があり、一面に広がることもあるといわれるが、ここ敦賀半島で見たものは、あまり大きな株はなかった。個体数も少なかった。
 山陰型タチツボスミレは以前はコタチツボスミレと混同して呼ばれていたものである。主に日本海側に広く分布していて、葉の基部が切形〜浅い心形になる特徴がある。大きな株も多く、林内に広く認められた。
 またこの地域で観察できる特徴ある種としてはエチゼンカンアオイが林床で花をつけているのを確認した。
 スミレ三昧の一日だった。
ナガハシスミレ
テリハタチツボスミレ
山陰型タチツボスミレ
エチゼンカンアオイ