丹後半島         1995年9月30日
久美浜
 山陰本線は京都から日本海側を西に進み下関・小倉まで延々と伸びている。何度が乗車したことがあるが、時間にとらわれずのんびりとした旅情が味わえる路線といえるだろう。
 今回は紹介するのはその途中で下車した京都府の丹後半島の付根にあたる久美浜である。意外に思われるかもしれないが京都府は南北に長く日本海に面していて、丹後半島は自然が残された海岸が広がる景勝地である。
 久美浜の小天橋の宿にたどり着くとすでに暗くなりかけていた。翌朝宿の人に花の写真を撮影に来たことを告げると何と海岸砂浜まで車で送ってもらえたのはありがたかった。防風林の松林を抜けると美しい砂浜が広がっていた。すぐにお目当てのハマベノギクが所狭しと咲き乱れているのが目に入った。障害物がなく放射状に茎を伸ばしているきれいな株も見られた。黄色のキンギョソウのような花を付けているのはウンランだった。こちらも砂浜で自由奔放に伸びていた。ハマニガナは春から咲き始めるが花期が長くまだ花が咲いていた。暖地によく見られるハマゴウもたくましく砂浜を這って広がっていた。カワラヨモギハマゼリアメリカネナシカズラなどの花も観察できた。その他開花時期ではなかったもののハマニンニク、ハマヒルガオ、スナビキソウ、コウボウムギ、ハイネズなどが部分的に占有している場所があった。
 海岸砂浜の最前線ではなく防風林に近いところではトウテイランの青紫色の花が何とも言えず美しかった。よく探せばあちらこちらにポツポツと開花株が認められた。京都府から鳥取県までの日本海側の海岸に分布する花である。
 久美浜の第一印象は白砂青松とたとえられる風景にピッタリのイメージであった。時期を変えて再度訪問したいと思っていたがまだその機会に恵まれていないのは残念なことだ。
ハマベノギク
トウテイラン
ハマニガナ
ウンラン