高島市        2008年4月27日
キバナサバノオの巻
 トウゴクサバノオ、サイコクサバノオ、アズマシロカネソウ、サンインシロカネソウなどキンポウゲ科シロカネソウ属には直径1cm足らずの愛おしくなるほど小さな花を咲かせるものが多い。中には分布域が限られていて、なかなかお目にかかれない花も少なくない。キバナサバノオはその代表格で近畿地方の一部に分布しているだけの貴重種である。
 滋賀県の北部の奥深い渓流沿いに探索に出かけたのは2008年4月下旬のことだった。あらかじめ下調べをしていたので、かなりの確立で発見できることを期待して、とある山の渓流沿いの登山道を上り始めた。山道脇にはタチツボスミらしき花が現われるが、よく見るとすべてサンインタチツボスミレのようだった。スミレサイシンやシハイスミレも競って咲いていたが、なかには葉の色が暗紫紅色のハグロシハイスミレも観察できた。シロバナニシキゴロモ、トキワイカリソウ、ヤマエンゴサクなども花盛りを迎えていた。
 しばらくすると気持ちのよい渓流に出くわした。なぜだかわからないが不思議と気分よく心が落ち着くところだった。水しぶきがかかるような岩場にはチャルメルソウとコチャルメルソウが咲き乱れていた。この辺りにはモミジチャルメルソウもある筈だと思い探してみたが見つからなかった。ワサビやマルバコンロンソウの白い花も渓流によくマッチしていた。
 ここで初めてキバナサバノオを確認した。思ったより大きな黄色い花だった。可憐というよりも立派な花という印象だった。ネコノメソウの仲間も多く、ボタンネコノメソウ、サンインネコノメ、ニッコウネコノメ、タチネコノメソウ、ヤマネコノメソウなどが観察できた。
 尾根筋ではホンシャクナゲが見られるのではないか思い駆け上ると、予想通りに満開の花が迎えてくれた。付近にはアセビ、アブラチャン、タムシバの花が彩を添えていた。
 最後に今回の旅行について、太宰治風に言えば「気持ちのよい渓流にはキバナサバノオがよく似合う」といったところだろうか。
キバナサバノオ
ホンシャクナゲ