白馬岳     1990年8月25日〜27日-@
猿倉〜白馬尻〜大雪渓〜頂上宿舎(泊)〜杓子岳〜鑓ヶ岳〜大出原〜鑓温泉(泊)〜猿倉
 実は白馬岳に最初に登頂するチャンスは高校時代に訪れていた。しかし、逃してしまっていたのだ。当時、選択制の旅行があり、一つは白馬岳登山、もう一つは飛騨高山散策だった。今思えば信じられないことではあるが、軟弱?だった私は飛騨高山散策を選んでしまったのだ。あの時白馬岳登山を選んでいれば、もっと早く植物の世界に目覚めていたかもしれなかった。
 白馬岳には大学生になってから、初めて訪れた。徐々に植物に関心を持ち始めたころで、何もかもが目新しく感動したことをよく覚えている。
 8月も終わりに近づくと、高山帯では花がめっきり少なくなってくるが、白馬岳ではまだたくさんの花が観察できた。
 樹林帯の林縁ではテンニンソウが開花し始めていた。渓流沿いではフキユキノシタの果実が膨らんでいた。草地ではタテヤマアザミが大きく育って迎えてくれた。大雪渓はかなり雪解けが進み、歩きにくいこともあるが、まだまだ雪渓が広がっていた。雪渓の縁にはミヤマコゴメグサ、クロクモソウ、クロトウヒレン、チョウジギク、キオンなどが見てとれた。
 どんどん高度を稼ぐと、高山植物の顔ぶれが豊富になってきた。ミネウスユキソウ、カンチコウゾリナ、タカネイブキボウフウ、エゾムカシヨモギなどが花盛りだった。頂上宿舎に至る手前の草原地帯にはミヤマトリカブト、ミヤマセンキュウを主体にした見事な群落が広がっていた。
 杓子岳方面に向かうとコマクサの群落があるが、わずかに残花が認められただけだった。稜線付近の岩場や礫地にはトウヤクリンドウの黄白色の花が目立っていた。他にはミヤマコウゾリナ、ウサギギク、タカネシオガマ、シダ植物のアオチャセンシダタカネヒカゲノカズラ、ミヤマメシダも観察できた。
 白馬鑓ヶ岳にまで至るとこのあたりでシロウマリンドウが現れてきた。白馬の名前を冠したリンドウで別名タカネリンドウとも呼ばれる。白色の花が清楚なものだった。
 振り返ると太陽光線に照らし出された陰影が美しい白馬岳と杓子岳が大きく聳え立っていた。
白馬岳と杓子岳
シロウマリンドウ
タテヤマアザミ
チョウジギク