尾鈴山     2002年9月28日,1999年9月30日,1987年10月3日
矢研滝、ケヤキ谷入口〜尾鈴山瀑布群〜白滝(往復)
 特産種、固有種という言葉を聞くと興味が沸いてくるのはなぜだろうか。他の土地では見られないその地域の特別な存在だからだろうか。特産種や固有種の中には貴重な珍しい植物も多く含まれている。その地に赴いてぜひとも一度お目にかかりたいと思うのは植物好きな人たちの自然な行動であろうか。ただし撮るのは写真のみで採集は厳に慎まなければならない。
 尾鈴山に咲く黄花のホトトギス類については昔から有名で、特産種としてのキバナノツキヌキホトトギスと宮崎県と鹿児島県に固有のキバナノホトトギスが分布している。
 ちょうど開花期は9月の下旬から10月の上旬にかけてである。この時期には合計3度来訪しているが、次第に数が少なくなってきているのは残念なことだ。かつては渓流沿いの岩場にたくさんのキバナノツキヌキホトトギスが見られたのだが、手の届く範囲にはほとんど見られなくなってしまったような気がする。それでも手の届かない岩場には群生して黄金花を連ねてつけている様子が観察できるのが救いである。
 キバナノホトトギスは岩場ではなく、林縁や林床に生息している。少し薄暗いような林床にも認められ黄色い花が輝いている。よく似たチャボホトトギスとの区別点は花茎が長いことである。チャボホトトギスは地際から花が咲いているように見えるが、キバナノホトトギスは地面から明らかに離れた上方に花が位置している。
 この時期に他に見られる花はスズコウジュホソバコンギク、シラネセンキュウなどだ。地面から赤い頭を持ち上げているのはツチトリモチだ。
 尾鈴山の渓谷を巡り花を撮影していると時間がかかってしまって、なかなか歩が進まない。そのため中腹の白滝あたりまで登ったことがあるが、それ以上の山頂まで極めたことがない。山頂を征服することが目的ではないのだから。憧れの花たちとの出会いが目的なのだから。
キバナノツキヌキホトトギス
キバナノホトトギス