西播磨        2008年5月5日
オチフジの巻
 今回の目的の花のひとつであるオチフジは近畿地方でなければ見られない珍しい花である。遠征初日にこの花を見る予定で出発したが、渋滞に巻き込まれ、やむなく目的地を変更した。これが幸いしたのか予想外に簡単にオチフジが見つかってしまったのだ。そのため3日目にあたる今日は山登りをパスして帰途に着こうかと考えてもいた。しかし、当初予想した山の予想通りの場所にあるのかどうか確認することも必要だと思い直した。
 山麓から渓流沿いの道を歩き出すと意外にも急な登りにてこずった。岩がごろごろして歩きにくい上に小雨もぱらついてきた。道沿いにムロウテンナンショウ、コミヤマスミレなどちらほらと咲いていたが、薄暗いためきれいには撮影できなかった。その他にはヤマゴボウが淡紅色の蕾を膨らませていたり、ナチシダらしきシダが新葉を展開し始めているのが観察できた。けれども、なかなかオチフジは出てこなかった。
 しばらく登り続けると自然度の高い渓流に辿り着いた。岩上にはヒメレンゲが黄色い花をちりばめていた。オオバタネツケバナも流れの側で咲いていた。
 条件的にもよさそうな場所を探すとやっとオチフジに対面できた。やや花が終わりかかっていたものの薄紫色の大きな花に感激してしばらく佇んだ。2日前の初対面のときと比べて感動が少なかったのはやむをえないところか。
 付近にはシロバナネコノメソウやキンシベボタンネコノメソウなどのネコノメソウ類の花が残っていた。足元の三角形の葉をよく見るとユキワリイチゲだった。山頂まで登るのが目的ではないのでこのあたりで引き返すことにした。その他に見られた花はヒメウツギ、シャガなどであるが、特にシャガの群生は見事だった。
 今回の山行については予想したところで予想通りの花に出会えた好例といえるだろう。
オチフジの群生
キンシベボタンネコノメソウ