ニセコ       1981年7月19日
ニセコイワオヌプリ、神仙沼など
 初めてあこがれの北の大地、北海道に足を踏み入れたのは1981年のことだった。仕事で訪れたとは言え、初めて目にするその光景は驚きに満ちていた。まず目についたのが、山に杉、檜の植林地帯が見られないことだった。本州地域であれば普通どこに出かけてもほぼ必ず目にする光景が、ここでは見られないのだ。これは新鮮だった。気候的に生育に適さないためだが、それでも二次林は少なく、手つかずの自然林が豊富に残されているのが特徴だ。
 仕事の合間に植物観察をしたいと申し入れ、ニセコ方面に自家用車で連れて行ってもらった。あいにく連れは植物にはほとんど興味がなく、温泉でゆっくりしているから、その間に山に登ってきてくれと言われた。時間にあまり余裕がなかったものの、ニセコの自然の一端を観察できたことに喜びを感じた。
 道路際の登山道入り口に車を止めてもらい、そこから一人で出かけた。かなり以前のことなので、はっきりとどこまで登ったのか覚えていないが、イソツツジの白い花がたくさん咲いていたのが印象に残った。ウコンウツギの黄色くて大きな花はよく目立っていた。アカモノの釣鐘形の花が下草に紛れてちらほらと咲いていたのも観察できた。
 神仙沼ではエゾゼンテイカ(ニッコウキスゲ)が橙黄色の花やヒオウギアヤメの紫色の花が目立っていた。ここで見かけた黄色い花のコウホネの仲間はネムロコウホネだと解った。小さな花だがつツルコケモモのピンク色の花も可愛らしかった。
 この時の旅行で人生で初めて飛行機に乗った。ところが名古屋空港で出発まじかに、エンジントラブルが発見されて2時間以上待たされてしまった。心配しながらも無事に千歳空港に着陸できた時には、ほっと一安心したものだった。
イソツツジ
エゾゼンテイカ(ニッコウキスゲ)
ヒオウギアヤメ