成東、東金       2002年8月9日、1995年9月20日
成東駅〜伊藤左千夫記念館〜成東湿原〜成東駅
 千葉県の成東町と東金市にまたがって位置する成東湿原には食虫植物および湿生植物が数多く自生し国の天然記念物に指定されている。資料によると指定されたのは古く大正9年という。湿原の植物を維持するためには適度に人手を加えることも必要で地域の人々やボランティアの人々により支えられているという。
 JR成東駅から南へ歩いて30分ほどのところに湿原は位置しているが、途中に「野菊の墓」で有名な伊藤左千夫の記念館がある。ここから集落を抜け水田の広がる一画に湿原がある。今回は8月と9月に訪れたときに観察できた植物を紹介した。
 8月には盛夏の植物としてシロバナナガバノイシモチソウやコモウセンゴケといった食虫植物がかわいい花を咲かせていた。ナガバノイシモチソウには紅花と白花があるがここでは白花であった。ちなみに愛知県では両方とも見ることができる。サギソウも数は少ないが確認できた。その他コバギボウシ、ゴマクサ、マネキシンジュガヤ、コウガイゼキショウ、コオニユリ、スベリヒユなどが観察できた。
 9月中旬過ぎにはゴマクサ、サワヒヨドリ、ヒメナエ、ヒメハッカ、ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ、カガシラ、イヌノハナヒゲなどが点々と見られた。中でもヒメナエやミミカキグサの仲間の花は小さく、よく目を凝らして探さなければ見つからない程であった。一方この時期に湿原に群生して特に見事だったのはオミナエシとツリガネニンジンだった。秋の風情を漂わせ湿原を彩っていた。
 また湿原に達するまでの道沿いには畑の草花や水辺の草花も咲きいろいろと目を楽しませてくれた。メヒシバ、オヒシバ、イガガヤツリトキワハゼコガマ、ホタルイ、ケイヌビエアシカキオモダカタカサブロウなど多彩であった。
 湿原には管理棟があり、花の開花状況などを伺うことができた。また資料を頂いたこともあった。水田地帯に残された貴重な湿原がいつまでも保たれていくようにと願うばかりであった。
ツリガネニンジンとオミナエシの咲く湿原
ゴマクサ
ヒメハッカ
シロバナナガバノイシモチソウ