室生寺         2013年5月2日
室生寺、竜鎮渓谷
 言わずと知れた室生寺はシャクナゲの寺として有名である。境内に見られるシャクナゲは自生ではなく植えられたものである。信者が山から採集してきたシャクナゲを植えたものらしい。そのためホンシャクナゲがほとんどであると思われるが、中にはツクシシャクナゲや他の品種が混在してるかも知れない。
 満開のシャクナゲを見るにはちょうどゴールデンウィークが適している。かなりの人出が予想されるので朝早い時間帯に到着した。シャクナゲは満開に近く、すでに多くのカメラマンが良いアングルで撮影しようとスタンバイしていた。女人高野とも呼ばれる室生寺はシャクナゲの美しさとともに小振りな五重塔がやさしく佇み落ちついた雰囲気を演出していた。
 今日はシャクナゲだけでなく、その先の奥の院に向かう途中のシダ群生地が目的だった。資料にはイヨクジャク、イワヤシダ、オオバノハチジョウシダが自生すると書いてあったが、オオバノハチジョウシダが多く見られただけだった。他の2種は夏緑性のためまだ出現していなかっただけなのかもしれない。かろうじてイワヤシダの新葉が撮影できた。また室生の名前を冠したムロウマムシグサとムロウテンナンショウが幾つも花をつけていた。予想外だったのはオオチャルメルソウが見られたことだった。花を拡大して撮影し次の目的地に向かった。
 竜鎮渓谷は山を挟んで室生寺の隣に位置する。キンキミヤマカンスゲアオミヤマカンスゲが同所的に見られると資料に書いてあったので選んだ。見られたのはこの2種とカンスゲ、オクノカンスゲ、コカンスゲ、イトスゲ、ナルコスゲ、タニガワスゲなどだった。他にはムロウテンナンショウ、ムロウマムシグサ、ケイリュウタチツボスミレ、ミヤマキケマン、ヤマルリソウ、マルバコンロンソウ、ミヤコアオイの花が見られた。ところでこの渓谷にはチャルメルソウが分布していたが、オオチャルメルソウは見られなかった。三重県側の赤目四十八滝にはチャルメルソウとコチャルメルソウが自生している。近接したこれら三地域でもそれぞれチャルメルソウ類の分布が異なるのは興味深かった。
室生寺五重塔とシャクナゲ
ムロウマムシグサ