黒髪山        1993年7月15日
上有田駅→乳待坊〜黒髪山〜有田ダム〜上有田駅
 黒髪山に登ったのは1993年で随分前のことになる。左のホソバコオニユリの写真はその時に撮影したものである。この写真は、ある出版社の植物図鑑に初めて採用された記念すべき写真の中の一枚である。黒髪山系の地形をよく知っている人なら雄岩、雌岩の岩峰群を背景に咲き誇るところを捉えたということが一目でわかる写真である。
 黒髪山は鎮西植物の宝庫とも言われ、さまざまな植物に出会うことができる。クロカミシライトソウ、クロカミランなどの固有種はもとより岩峰群にはウンゼンマンネングサ、ヤツガシラ、ツクシトウキ、イブキジャコウソウ、ブゼンノギクなどの貴重な植物が見られると知ってからはぜひ訪れたい山の一つであった。
 今回は偶然にも機会が巡ってきた。ただし時間的にあまり余裕が無かったのでタクシーで乳待坊まで入り、黒髪山に登り、有田ダムを経由して上有田まで戻るコースを辿った。地図も持ち合わせていなかったため、どこをどのように歩いたか今ひとつ定かではなかった。
 印象に残っているのはホソバコオニユリが鮮やかな花を着けていたこと、地味ながらもツクシトウキがあちこちで岩上に咲いていたこと、岩場にへばりつくようにウンゼンマンネングサが黄色い花を輝かせていたこと、リョウブの白い花が盛りでダム湖をバックに映えていたことなどだった。
 ところで黒髪山といえばクロカミランが有名なのだが、遠くの岩場にイワヒバが群生しその株元にピンクの花が見えたのがそれと思しきものだった。実際に間近で手にとって観察できるようなところにはなく、遥か遠くの岩壁にくっ付いているだけだった。もうひとつ有名なものにカネコシダがあるが、時間が無く見落としてしまった。代わりにシダ植物ではオオカグマが確認できた。次回はゆっくりと観察に出かけてみたいものだとつくづく思った。
ホソバコオニユリ
ウンゼンマンネングサ