九重山        1999年9月28日
牧ノ戸峠、長者原など
 九州地方に秋の花を求めて旅立ったことがあった。まず阿蘇山の草原地帯を散策し、その後宮崎県への移動途中で白岩山を経由して日向まで入り、尾鈴山で撮影し、南下して高隈山に登った後に帰るという随分欲張った強行日程をたてた。とは言うものの白岩山を除いて過去に出向いたことがあったため現地の様子はおおよそ把握できていた。目的の花といえば阿蘇山ではキクの花が主でヤマアザミ、ヒゴタイ、ヤマジノギク、オオユウガギクなど、白岩山ではイワギク、尾鈴山ではキバナノツキヌキホトトギスキバナノホトトギス、高隈山ではタカクマホトトギスなどだった。
 当初の訪問予定地に九重山は入っていなかったが、阿蘇の散策後に余裕ができたため急遽訪れてみることにした。
 最初に訪れたのは牧ノ戸峠付近で、リンドウがすでに開花し、アキノキリンソウやヤマジノギクも花盛りを迎えようとしていた。頭花の大きなアソノコギリソウはまだ花を残していた。
 次に訪れたのは長者原付近で一面を被い尽くすように広がったススキの花穂が風にたなびき、秋の風情に十分に浸ることができた。自然研究路に入ってみると湿地帯が広がっていて、その一角にノギクの仲間が花をつけていた。しかし種名までは判らず撮影したままになっていた。その後、改めて調べたところヒゴシオンらしいことが判明した。直立した茎の先に薄紫色のやや大きめの花が伸び出して立派に咲き誇っていた。
 ここではもう一種類名前のわからない種があった。その花はシムラニンジンだった。撮影した当時はセリの仲間であることしか判別できなかった。後日シムラニンジンの花が終わりかけている状態だとわかった。
 何気なく訪れた秋の九重山は阿蘇山では見つけることができなかった植物を観察することができ、思いがけず収穫の多い寄り道となった。
長者原から三俣山方面の展望
湿原に咲くヒゴシオン