北岳          1996年7月21日〜23日
広河原〜大樺沢〜白根御池小屋(泊)〜二俣〜八本歯ノコル〜トラバース道〜北岳山荘〜中白峰〜北岳山荘(泊)〜北岳山頂〜肩ノ小屋〜草すべり〜大樺沢〜広河原
 北アルプスの白馬岳と並び花の名山と称されるのが南アルプスの北岳である。北岳に登れば南アルプスで見られるほとんどの高山植物が観察できるので何回か訪問している。今回は7月下旬の梅雨明け直後の植物を紹介した。
 大樺沢に沿った樹林帯ではハナチダケサシ、コキンレイカ、キヌタソウ、ヤマホタルブクロが咲き、ハリブキの赤い実が輝いていた。湿った場所にはカイタカラコウの黄色い花が群生していた。登るにつれてセンジュガンピヤマガラシ、オオヒョウタンボク、タカネグンナイフウロ、ミヤマハナシノブなどが鮮やかにお花畑を演出してくれた。この日は池の辺に建つ白根御池小屋で宿泊した。
 翌日は八本歯のコルを目指し登りきると急に視界が開けた。間ノ岳を望む雄大な景色が眼前に広がり、それまでの疲れが吹き飛んだ。お花畑にはシロウマオウギ、ミヤママンネングサ、ハクサンシャクナゲ、ミヤマオダマキ、ミヤマクロユリなどが加わりますます賑やかになった。トラバース道の岩場にはツガザクラ、イワベンケイ、ウラジロキンバイ、ミヤマムラサキが咲き誇り、ハゴロモグサが地味ながら味わいのある花を付けていた。タカネスイバ、ヤツガタケタンポポ、ミネウスユキソウ、アカイシキバナノコマノツメ、シコタンソウ、クロマメノキ、コイワカガミ、チングルマなど眺めながら北岳山荘へ到着した。荷を軽くして中白峰方面へ向かいチョウノスケソウ、キタダケナズナクモマナズナ、ミヤマシオガマ、イワウメ、キタダケキンポウゲ、レンゲイワヤナギなどを観察して山荘へ戻った。
 最終日は北岳山頂を極め、草すべりを下った。天候がすぐれず雨の中でタカネマンテマ、ミヤマクロユリ、テガタチドリ、タカネヤハズハハコ、クガイソウなど撮影して帰還した。予想通りこの時期にはキタダケソウは残花が僅かに見られただけだった。最盛期のキタダケソウをぜひとも見てみたいものだ。それにしても花の種類の多さには唯々驚かされるばかりであった。
キタダケキンポウゲ
タカネマンテマ
ミヤマムラサキ
チョウノスケソウ