霧島山      1997年9月12日〜13日
御池、高千穂河原〜高千穂峰〜高千穂河原、えびの高原〜韓国岳〜えびの高原
 霧島山は鹿児島県と宮崎県の県境に連なる山岳地帯の総称であり、この地方の名を冠した植物も多く産する。また多くの火口を備え、様々な火山景観が観察できるところでもある。
 まず霧島山麓の御池へ出向いた。途中の山麓ではヌスビトハギやヤブミョウガの花が咲き、カラスウリの実が赤く熟していた。池の周囲を一周するとハシカグサ、オオヒナノウスツボ、ヤマホロシガンクビソウミヤマミズなどの花が現れた。
 翌日は高千穂河原から秀麗な高千穂峰を目指した。林中にはツクシヒトツバテンナンショウの赤い実が熟し、ヒメガンクビソウの地味な花も見つかった。樹林帯を抜けると、石がゴロゴロして高千穂峰は非常に登りにくかった。それでもツクシアザミが大きな頭花をつけ立派な姿を見せ疲れを忘れさせてくれた。ヒヨドリバナも咲いていた。樹木ではコバノクロヅルの花がまだ残っていた。
 次にえびの高原まで行き韓国岳を登ることにした。硫黄山の礫地にはキリシマノガリヤスが多く見られた。火山の岩場に生育する種でキリシマの名が冠せられた植物のひとつである。さらに登るとニンジンの葉を思わせるツクシゼリが現れ、キリシマヒゴタイ、ツクシアザミ、フクオウソウも登場した。ツクシコウモリソウは樹林下のあちらこちらで群生している様子が観察できた。今回登場したこれらの植物のうち幾つかは分布が九州地方などに限られた種である。また下山途中に水辺で見つけたイソノキの赤い実はやけに印象に残った。花の時期は地味で目立たないが実は鮮やかで目を奪われた。
 霧島山では春にはノカイドウ、キリシマミズキ、キリシマミツバツツジなど、初夏にはミヤマキリシマなど、秋には今回紹介した花など特徴的な植物が多く観察できる面白い地域である。
ツクシアザミ
キリシマヒゴタイ
ツクシコウモリソウ
キリシマノガリヤス