紀伊半島        2013年3月25日〜26日
キイハナネコノメの巻
 ネコノメソウの仲間は比較的最近になって新種が発見されたりして興味深い分類群である。ヒダボタン、ヒメヒダボタン、アカヒダボタン、トウノウネコノメ、ヤマシロネコノメなどはまだ認識されてから日が浅い。ほかにも新種として何種か発表されるのを心待ちにしている。
 ネコノメソウの仲間は早春から咲き始める種が多く、うっかりすると花期を逃してしまうこともしばしばある。ハナネコノメの仲間は中でも花期が早く、標高の高いところを除けば3月には咲き始めて4月中にはほとんど終盤になっていることが多い。大雑把に分けて紀伊半島の中程より北側と東側にハナネコノメ、西側にシロバナネコノメソウ、南側にキイハナネコノメが分布するらしいが良くわからない事も多い。
 キイハナネコノメを撮影するため紀伊半島の南部に向かった。途中で寄り道して、この時期でなければ見られないハマジンチョウの花を観察しに南伊勢町へ立ち寄ってみた。実際には湾内の島に自生するが、ここでは対岸に増殖されて容易に目にすることができた。ロート形の淡紅紫色の花が美しかった。
 目的の花を探しに行く前に天然記念物のユノミネシダも観察してきた。温泉の大衆浴場の裏側の土手にあるとは思いもよらなかった。屋久島で観察してきて以来だった。冬に枯れた葉が多くて痛んでいたのが残念だった。
 キイハナネコノメは岩場に咲いていた。時期的に遅く、花は痛んでいたが、初めての対面は心躍るものだった。予定していた観察場所は2-3箇所を事前に調べ上げていた。始めの場所では咲いてはいたものの遠くて、花のアップ写真がうまく撮影できなかった。2箇所目で撮影できたが残花ばかりで葯の色が薄いものだった。葯が紫色のきれいな新鮮なものを撮影できなったのが残念だった。次回に期待する事としよう。
 他に目に付いた植物はイワボタン、マルバコンロンソウ、ケイリュウタチツボスミレ、コスミレ、マキノスミレ、キランソウ、ヘビイチゴ、ソメイヨシノ、ヘラシダ、コバノカナワラビ、アオホラゴケなどだった。
キイハナネコノメ
ユノミネシダ
ハマジンチョウ