紀伊半島 2004年9月18日 |
熊野古道:大内山村〜ツヅラト峠〜紀伊長島町 |
熊野古道は2004年7月に世界遺産に登録されて一躍有名になった。正確には「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録され、熊野古道はその一部である。観光客が一度に増えすぎたため、苔むした石畳の道は苔が踏まれてなくなり、昔の面影が失われつつあるといった弊害も生じているようである。熊野古道を巡るツアーも活発に催されいる。今回はそのひとつのツヅラト峠を越えるツアーに参加した時の模様を紹介した。 大内山村側からツヅラト峠を越えて紀伊長島町へ抜けるコースだった。最初は小川沿いに植林地帯を進んだ。川沿いには紀伊半島以西で見られるタニガワコンギクがわずかながら咲いているのが確認できた。ノコンギクの仲間は変異が多いがその一種である。ヤマジノホトトギスはあちこちで花盛りだった。わずかにキハギの花も残っていた。そのうちにほっそりとしたアザミに出くわした。これは近畿地方以西に分布するヒメアザミだった。葉も細長くきゃしゃなアザミだった。ツヅラト峠に出るまでは植林地帯の急登であったが、ツヅラトの名前のように九十九折の山道が続いていた。林床には植物は少なく、マツカゼソウなどが時折見られたぐらいだった。 ツヅラト峠を超えると植生は一変した。照葉樹林が広がっていたが、この時期に花は少なくダンドボロギクなどの帰化植物が目に付いた。渓流の縁には那智の名を冠したナチシダが大きな葉を広げて南国らしい雰囲気を演出していた。山麓ではヤブツルアズキ、イヌコウジュ、ヌスビトハギ、ネコハギ、アカバナ、ヒガンバナなどが開花して賑やかだった。その中に見慣れぬ花を発見した。分布域は広いのだが見かけることが少ないラセンソウだった。葉腋に黄色の花を数個づつつけた特徴のある植物だった。 次回は異なった道を散策してみたいものだと思った。 |