海上の森(瀬戸市) 2008年8月10日、2008年8月31日
大正池、篠田池、赤池、広久手第一池、四ツ沢、物見山、海上の里など
 海上の森は愛知万博会場の候補地に上がり一躍有名になった。万博の名を借りた自然破壊と宅地の造成計画が見抜かれ、環境に配慮して計画が変更され、自然のままこの地が残されたのは真に喜ばしいことであった。
 海上の森はコナラ、アベマキ、アラカシなどのシイ、カシを中心とした里山の雑木林が広がる地域である。林内や林縁にはコシダウラジロの群落が見られる。また池や湿地が点在し、様々な湿生植物が観察できる優れた自然が残された地域でもある。
 夏の湿原の代表的な花はサギソウであろうか。シロサギのような花の姿は実に精巧だ。コマツカサススキ、アブラガヤ、ヌマガヤなどの地味な仲間も出穂始期だった。夕方にならないと開花しないミズオトギリはピンクのかわいい花だ。ヒメシロネ、ヌマトラノオ、ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、ノリウツギ、ヒメガマも眼に留まった。沢沿いや湿ったところにはハエドクソウ、ミズタマソウ、ダイコンソウ、ノギラン、ヤブラン、ヒメヤブラン、シマジタムラソウなどが咲いていた。
 9月に近くなると、いよいよミズトンボが登場した。面白い宇宙人のような顔をした花が幾つも咲き揃っていた。シラタマホシクサ、ミミカキグサ、またテンツキなどのカヤツリグサの仲間もこれからが最盛期だ。林内ではミヤマウズラがヒッソリと花を開き、林縁ではクズが華やかに咲き誇っていた。黄色の斑が入った紅紫色の花は何と美しいことだろうか。ヌスビトハギ、アレチヌスビトハギ、ヘクソカズラ、キンミズヒキ、シンミズヒキ、ミズヒキ、オニドコロ、ヤマノイモ、センニンソウなど一般的によく見かける仲間であるが活き活きと繁茂していた。さらに海上の森周辺にある湿地ではヒナノカンザシ、シラタマホシクサなどが観察できた。
 林内には地図にない道も迷路のように入り組んでおりあちこち彷徨ってしまった。海上の里にある里山サテライト(休憩所)に到着したときは懐かしい里山の風景を見る思いでホッと一息ついたことが思い出される。
落ち着いた佇まいの大正池
サギソウ
ミズトンボ
クズ
ミズオトギリ