石巻山          1991年〜2005年
中腹駐車場〜石巻神社山上社〜不動院〜蛇穴〜山頂(往復)
 国の天然記念物に指定されている石巻山は石灰岩でできた山で標高356mにもかかわらず特有の植物が数多く自生する。石灰岩や蛇紋岩はカルシウムやマグネシウムを多く含むため通常の植物は生育に適さず、独特の植物相が形成される。中腹駐車場から山頂までわずか30分程度の登りであるが、途中このしろ池、蛇穴、ダイダラボッチの足跡などの石灰岩地形が観察でき、山頂は雄岩、雌岩の石灰岩峰から成っている。
 さて春から秋にかけて様々な植物が目を楽しませてくれる。キブシ、コクサギ、アオキなどが茂る林床にはヤマアイが多い。タチツボスミレ、カテンソウ、オドリコソウ、シャク、ウマノアシガタ、クサノオウ、ヤマハタザオなど春の花が一段落すると、石灰岩地に見られるイワツクバネウツギ、マルバイワシモツケ、イブキボウフウなどが咲き始める。石灰岩を好むクモノスシダやビロードシダ、またツルデンダヤマヤブソテツも岩場にくっついている。
 夏にかけてヒメウツギバイカウツギ、イボタノキ、テイカカズラ、ツルマサキ、ホウライカズラなどの花やヤナギイチゴのオレンジ色に熟した実が目立つ。キリンソウ、ミツバベンケイソウ、キジカクシ、クサボタン、ノビル、オニユリ、カワミドリ、コマツナギ、タンキリマメ、キツネノカミソリなど多彩な花が絶えることがない。また野生化したムクゲ、ビワ、カラタチなどが見られるのも特徴である。
 秋にはここで発見されたステゴビルやマネキグサが数は少ないながらも花をつける。ヤブタバコ、ヤブラン、レモンエゴマ、ヒキオコシ、ヤマミズ、ヌマダイコン、マルバノホロシ、ミズヒキなどが花盛りを迎えヤブサンザシの赤い実も鮮やかだ。晩秋にはリュウノウギクが岩場を豪華に飾っている。紅葉も想像以上に美しい。
 石灰岩という特殊な環境下で育つ植物たちが手軽に観察できる山が石巻山である。
イワツクバネウツギ
マルバイワシモツケ
ステゴビル
クモノスシダ