伊那谷       2010年8月19日-A
トダイハハコ、シライワシャジンの巻
 南アルプス地域には石灰岩地帯が点在している。これらの石灰岩地帯には特産種となっている植物が数多く存在する。和名に地域の名前が冠せられた植物も多い。たとえばシライワシャジン、シライワコゴメグサ、トダイハハコなどである。それらは南アルプスの地名である白岩や戸台から名付けられている。
 以前からこれらの特産種をじっくりと観察できる機会を伺っていた。比較的近くにありながらほとんど訪問したことがなかった伊那谷に注目して2009年ごろから積極的に出かける機会をつくった。
 目的とする石灰岩が露出した場所には想像以上に多様な植物が出現した。一番目立ったのはトダイハハコで全体がクモ毛におおわれて白っぽく見える印象的な植物だった。よく見るとウスユキソウの仲間がもう一種類見られた。これも特産種のカワラウスユキソウだった。シライワシャジンはツリガネニンジンの仲間でヒメシャジンに似ているが花柱が花冠から長く突き出ているところが異なっていた。
 トダイアカバナシライワコゴメグサは小さな花なので見落としてはいけないと注意深く探した。その結果、葉が細い特徴のあるダイアカバナやシライワコゴメグサが所々で花を開いているのを確認した。
 この地域には亜高山帯から山地帯の植物が多産していた。加えて路傍や河原沿いには帰化植物も認められて興味深いものがあった。観察できた植物は以下のとおり。コウモリソウ、マルバダケブキ、ヤマハハコ、ソバナ、タマガワホトトギス、キツリフネ、シナノナデシコ、ミヤマモジズリ、イブキジャコウソウ、シオガマギク、マツムシソウ、ウメバチソウ、ホタルサイコ、ハナイカリ、ジャコウソウ、クルマバナ、カワミドリ、メハジキ、トモエソウ、ヌスビトハギ、フジウツギ、ママコナ、ナンバンハコベ、ヒキヨモギ、イケマ、シロバナシナガワハギ、ガガイモ、キハダ、ヌルデ、ビロウドモウズイカ、オオハンゴンソウ、メマツヨイグサ、クスダマツメクサ、フサフジウツギなど。 
トダイハハコ
シライワシャジン
タマガワホトトギス