鳳来寺山、鳳来町     1986年〜2005年
山頂駐車場〜鳳来寺〜奥の院〜山頂〜鷹打ち場〜東照宮〜山頂駐車場など
 ブッポウソウで有名な鳳来寺山は南設楽郡鳳来町にあるとは言えなくなってしまった。平成17年に新城市に併合されてしまったのだ。昔懐かしい地名が消えてしまうのは名残惜しい気がする。
 さて鳳来寺山や旧鳳来町には分布上珍しい植物が数多く自生し興味が尽きない。春先には麓でセツブンソウが咲き、川沿いにはユキヤナギが白い花をいっぱいつけた枝を風になびかせている。ケイリュウタチツボスミレも見られる。山の尾根でタムシバ、ミツバツツジ、アカヤシオ、ヒカゲツツジ、ウスギヨウラク、ザイフリボクなどが咲き出すといよいよホソバシャクナゲの出番である。エンシュウシャクナゲとも呼ばれこの付近一帯に分布する美しい種で細い葉が特徴だ。樹相としては山腹から山頂にかけてシイ、カシ類が茂り、杉の古木、ツガ、モミも見られる。湿った林床にはシャガが群生している。また空中湿度が高くセッコク、カヤラン、マメヅタランなども着生している。山麓の川辺の岩にはシランも自生し、シダ植物も豊富でカタヒバイワヒバなどを目にする。
 夏にかけては、ササユリ、カキノハグサ、オノマンネングサ、キハギなどが咲き、渓流ではサツキの鮮やかな赤い花が川面に映えている。盛夏には分布が限られるウラジロギボウシビロウドノリウツギ、クロバナキハギ、ミカワショウマなど特徴ある植物が目白押しだ。イワタバコも薄紫色の花を岩影に見せてくれる。良く見るとハナゼキショウもくっついている。またヤマユリはこの地方ではホウライジユリとも呼ばれ親しまれている。その花の大きさと香りには驚かされる。
 秋にはエンシュウハグマが林床を彩っている。葉の形や花の造りが面白い植物である。キチジョウソウ、シロヨメナ、キッコウハグマ、タカクマヒキオコシ、ツルニンジン、ホトトギス、センブリなど秋の花も風情がある。川岸にはセンボンギクが健気に咲いている。11月になるともみじ祭りが毎年開催され目にも鮮やかな紅葉を堪能することができる。
ヤマユリ(ホウライジユリ)
エンシュウハグマ
ホトトギス
ホソバシャクナゲ