日和佐         1986年11月27日
日和佐八幡神社、大浜海岸、千羽海崖など
 イソギクは千葉県から静岡県までの太平洋岸、伊豆諸島の海岸の崖などに生える。一方シオギクは徳島県から高知県の海岸の崖などに生える。これらの中間地帯にあたる紀伊半島の海岸に生えるのがキノクニシオギクである。これらの3種は棲み分けしていて、それぞれの自生地まで出向かなければ、お目にかかれない種である。
 シオギクの花を一番最初に観察したのが日和佐海岸だった。徳島駅からローカル列車を乗り継いで日和佐駅に降り立ったのは11月の下旬だった。南国のイメージが漂い、まだ暖かく感じられた。
 海岸に至る前に日和佐八幡神社に立ち寄った。クスノキの大木が幾つもそそり立ち圧倒された。タブノキ、クロマツも大きく育っていた。
 日和佐の街を抜けると海岸に突き当たった。砂浜が広がる大浜海岸で植物を観察することにした。遠目には花が多く咲いているようには見えなかったが、所々で現れた岩場や崖地にはシオギクが群生して黄色の鮮やかな花を咲かせていた。同じく黄色い色の花が群生して見られたのはアゼトウナだった。アゼトウナは伊豆半島から紀伊半島、四国、九州の太平洋側の岩場でこの時期にはよく見られる花だった。ハマアザミもこの時期に海岸で見られる花の常連だった。アゼトウナと同様に伊豆半島以西の太平洋側の海岸で見られる花だった。
 ハマゴウは花期が夏なので果実ができていた。わりと分布が広いようでここでも見かけた。砂に埋もれながらも海岸の最前線まで進出する逞しい匍匐性の落葉低木だった。
 大浜海岸から千羽海崖まで足を延ばした。崖が続く風景の良いところがあるらしいとのことだった。崖までの道すがら、ナンテンの赤い果実、フユイチゴの赤い果実、ネズミモチの紫黒色の果実などが目を楽しませてくれた。アザミの花が咲いていたが、後日調べたところサヌキアザミではないかと思われた。想像以上の絶壁が続いていて驚かされた。
 最後に日和佐にはウミガメ博物館がある。ウミガメを扱った博物館で展示内容も面白く、興味深いものだった。
日和佐海岸風景
シオギクの群生
ハマアザミ