飯能         2003年8月31日
東吾野〜虎秀川沿い〜福徳寺〜夕市場橋〜ユガテ(往復)
 キツネノカミソリとオオキツネノカミソリはよく似ているが、見分け方は簡単だ。キツネノカミソリは雄しべと雌しべの長さが花被片とほぼ同等で外へ突き出さない。これに対してオオキツネノカミソリは雄しべと雌しべが花被片より長く外へ突き出るので区別できる。またキツネノカミソリの花被片はそり返らないが、オオキツネノカミソリはそり返る傾向がある。
 夏の暑い盛りに飯能市まで出かけたのはキツネノカミソリの群生を見たかったからだ。東吾野駅で下車して川沿いに北ヘ向かいユガテ方面を散策した。八月の最終日とはいえまだまだ陽射しは厳しかった。日に焼けた舗装道路をトボトボと歩いていくと川沿いにはツルヨシが群落を形成していた。川の下流にはヨシが生えるが上流になるとツルヨシが生えていることが多い。ヨシと比べて異なるところはツルヨシは地表を這う長い枝をだすことおよび茎の節に白い毛があることで見分けられる。
 土手や周辺の草むらではお目当てのキツネノカミソリが咲いていた。ただし時期的に遅かったためか、群生とまではいかなかった。それでも黄赤色の鮮やかな花は元気を与えてくれた。林縁の薄暗いところではシュウカイドウの派手な花が目立っていた。栽培されていたものが逸脱し野生化してかなり広がっているようだった。
 夏の終わりから秋に見られる花たちも咲き始めていた。キツネノマゴ、ハグロソウ、ママコノシリヌグイ、ミヤマフユイチゴ、ヌスビトハギ、オオイヌタデ、ヤブラン、ウド、ヒナタイノコヅチ、ノコンギクなどで賑やかだった。
 ヒグラシの鳴き声がこだまする中を山道に分け入ると林縁ではフジカンゾウがピンクの花をたわわに着けていた。長い花穂を互いに絡ませて、風に揺れる様子は何とも愛らしかった。この時ほどフジカンゾウが美しいと感じたことは無かった。しばらくスギの植林地帯を登るとやがて山上集落のユガテに到着した。
キツネノカミソリ
フジカンゾウ